戦車のエンジンと燃費の悩ましい話 悪さはお察し、安全と実用性で紆余曲折の100年

戦車への燃料補給、実際のところは?

 それでは戦車への燃料補給は実際、どのようにして行われているのでしょうか。

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90式戦車の10ZG32WTディーゼル。V型10気筒で最大1500馬力(月刊PANZER編集部撮影)。
演習にて、携行缶に給油中の自衛隊員。携行缶の容量は20L(月刊PANZER編集部撮影)。
演習にて、給油中の90式戦車(月刊PANZER編集部撮影)。

 陸上自衛隊の場合、各駐屯地に給油所があり、戦車もここを利用することは可能ですが、燃料をがぶ飲みする戦車は給油に時間がかかるため、何両も連なって向かうと混雑の原因になります。

 そのため、パーク(駐車場)で給油する姿がよく見られます。各駐屯地には「燃料集積所」という場所があり、そこには緊急時や災害派遣に備えて必ず一定数、燃料が入ったドラム缶(1缶あたり200リットル)が用意されています。ここにまずトラックで向かい、軽油が入ったドラム缶を必要数荷台に搭載し、パークに戻ります。その後、ドラム缶を下ろし、人力で戦車のそばまで転がし、手動ポンプで給油します。

 手動ポンプは種類にもよりますが、おおむねハンドル1回転で1リットル汲み上げるようにできており、単純に考えてもドラム缶を空にするまでハンドルを200回転させることになります。

 ちなみに各部隊で保有する戦車には、常に一定量の燃料が入っているように管理されており、燃料タンクが空の状態になることはほとんどありません。部隊では隊員が常時、部隊が装備する全車両の稼動状況を把握しており、適時適切な燃料補給を行っているからです。

 このように、「たかが給油」と思うかもしれませんが、軍用車両への給油は多くの人員が関わって実施されています。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. 以前読んだ高校生が90式戦車を乗り逃げする小説の後書きで、著者が取材した際に給油口の場所は教えてもらえなかったとか。
    一応そのような事態への考慮はあるようです。