多摩都市モノレールの延伸は実現するのか 経営破綻寸前から復活、準備も着々と進行

カギはモノレールの「導入空間」

 これを読み解くカギが「導入空間」です。都市モノレール整備では、橋脚や軌道桁など「インフラ部」を国と自治体の費用負担で建設し、事業者は鉄道運行に必要な「インフラ外部」の整備費を負担します。道路構造物として扱われるインフラ部を建設するには、軌道の下に導入空間となる幅25mの都市計画道路が整備されている必要があります。

 一歩先んじているのが箱根ヶ崎ルートです。延伸区間は拡幅した新青梅街道(東京都道5号)上に建設する構想で、武蔵村山市によると2023年度中に全区間で道路拡幅工事が完成する予定です。

 町田ルートは沿線人口も多く大きな整備効果が期待されますが、延伸区間13kmのうち導入区間を確保済なのが約7km、拡幅が必要な区間が約2km、整備未着手の区間が約4kmと導入空間がいつ確保できるのかまだ見通せない状況です。町田市は早期の事業化を目指したいとしていますが、東京都は箱根ヶ崎ルートを優先して着工する意向のようです。

 箱根ヶ崎ルートの総事業費は800億円。うち半分を「インフラ外部」整備費とすると、多摩都市モノレールの負担額は約400億円です。100億円を東京都及び沿線自治体からの追加出資、100億円を自己資金で賄うとして、新規に200億円を借り入れたとしても、現在の金利状況であれば経営に問題はないでしょう。

 工期を約6年と見積もれば、道路拡幅完了後の2024年度に着工し、2030年度に開業するスケジュールが見えてきます。

【了】

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コメント

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7件のコメント

  1. 上北台駅から先は箱根ヶ崎駅ルートは金かかるし利用者見込めない。
    寧ろ、埼玉県にまたがるが小手指駅延伸の方が西武ドームや西武池袋線に出やすくなるからこれも考えた方が良いね。

    • 新青梅街道の拡幅工事では、中央分離帯が4mと十分広く取られるので、箱根ヶ崎ルートの方がよっぽど費用がかからないのでは?
      また、近隣の鉄道から1キロ程離れたルートなので、競合もなく、よっぽど、利用者が見込めそうですが・・・

    • 同感です。
      町田への南進は計画通りで良いですが、多摩地区~埼玉県南部の南北縦貫交通は脆弱極まりないですから、それを改善するにはやはり西進より所沢方面への北進を本気で考えるべきです。所沢市もむしろ、都営大江戸線の東所沢延伸よりこちらに力点を置くべきでしょう。

    • 北上のためには多摩湖を越えないといけませんが、多摩湖は正式名称「村山貯水池」なので、水質悪化の原因となる土木工事は出来ません。
      多摩湖を横断する道路は見た目渋滞が多いように感じますが、片側2車線にすれば渋滞は全く無くなるくらいの交通量しかありません。にもかかわらずそれをしないのは前記の理由からです。
      そのため、モノレールの新規開業工事なんか夢のまた夢、非現実な話と言っていいでしょう。

  2. あるかどうかも定かでない都県境越えの南北移動のOD+観光の誘発効果ではお話にならないと思いますよ。

  3. 南側に関しては、町田へ伸ばすのが正解のような気がするが・・・。

  4. 多摩都市モノレール、町田方面へ南伸するのに、現状の最南端駅である多摩センター駅での駅番号が「TT-01」になっている。町田延伸時は、駅番号を繰り上げるか、多摩センター駅以南の駅番号が00およびマイナスでなければならない。