F-35戦闘機捜索に投入の海底研究船「かいめい」とは 科学研究のための船をどう活用?

具体的な捜索は? 那覇で見られたあの赤い船も

 一方で、F-35A戦闘機の捜索にはアメリカ軍も協力態勢を敷いています。アメリカ海軍のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦や対潜哨戒機などを現場海域へ派遣しての捜索はすでに終了したものの、岩屋防衛大臣は、アメリカ軍が海中探査用の民間船舶をチャーターして派遣する予定であることを示しています。この民間船とは、潜水作業支援船「ファン・ゴッホ」です。シンガポールのウルトラディープソリューションズ(UDS)社が保有運航しており、先ごろ沖縄県の那覇軍港へ展開していることが報告されました。

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那覇軍港に停泊中の「ファン・ゴッホ」(2019年4月21日、恵 知仁撮影)。

「ファン・ゴッホ」が搭載する150tクレーンは水深3000mでの作業も可能だといいます。これは150tの重量物を3000mの海底から引き上げられる能力があるということです。F-35Aの機体重量は約13tですから、ウインチの巻き揚げ力は十分なものがあります。また、水深300mまで潜航可能な18人乗りの作業艇や、無人遠隔操作車両も装備しているといいます。

 では、「かいめい」と「ファン・ゴッホ」はどのように捜索、引き揚げ作業を行うのでしょうか。筆者(貝方士 英樹:編集者/ライター)は以下のように考えます。

 まず「かいめい」がMCSを使ってF-35Aの海没地点を特定し、ROVを潜航させて高解像度TVカメラで機体の損傷具合など海没状況を船上へリアルタイムで送信。捜索本部は引き揚げ作業の策定を開始します。ROVは音響トランスポンダなど信号発信装置を機体へ取り付け、さらに位置を明らかにして浮上します。

「かいめい」のROVと「ファン・ゴッホ」の無人遠隔操作車両はともに潜航し、引き揚げ用のワイヤーを取り付けるための工作を海没機体へ施します。そして「ファン・ゴッホ」の150tクレーンからワイヤーを延ばし、ROVが海底で接続、ウインチで海没機体を引き揚げます。

 以上はあくまで仮定ですが、「かいめい」と「ファン・ゴッホ」の機能を比較すると、こうして作業を分担する様子が想像できると思います。最適な引き揚げ方法は、機体の損傷具合や海底の状況により決められることでしょう。

【了】

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1件のコメント

  1. F-35Aの捜索で日本の海底調査が進展する訳か