ANAのA380就航で思い起こす「スカイマークの行方」 破綻からの復活、その先は

なぜ行われない? ANA×スカイマークのコードシェア

 システムをANAに依存することが即、経営支配につながるというのは感覚的にはわからないこともないですが、ANAが「able-D」を改修して他社システムとの接続を可能にすれば、スカイマークの元システムのままでコードシェアは行えます(ANA側に10億円以上の改修費が発生するものの、スカイマーク側は大した額ではない)。それすら行われないのは、佐山会長がどんな形であれコードシェアを行うこと自体に拒否感を持っているからなのではないかと感じられるのです。

 コードシェア自体は決して「支配」につながるものではなく、双方がビジネスライクに行えるものであることは、国内外の十分な実例が物語っています。たとえばスターフライヤーは、ANAが筆頭株主になる前から同社とコードシェアを行っています。少なくとも当時それが、「青(ANA)色になる」「恩義を受ける」との意識はスターフライヤー側にはありませんでしたし(この会社はあくまでも「黒い色」)、もしANAと決定的な対立が起き「コードシェア相手を他社に変更するとどうなるか」といった「打たれ強く生きるための頭の体操」も行っていました。

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スカイマークのボーイング737。同社は2019年3月に成田~サイパン線でチャーター便の運航も開始(画像:スカイマーク)。

 このような状況を鑑みると、再建開始時のスカイマークは出資金以外にもオペレーション、特に整備・運航面でANAの支援を受けておきながら、出資側のANAが持ちかけたコードシェアを(ANAのシステムを導入しない形でさえも)拒むというのは、筆者(武藤康史:航空ビジネスアドバイザー)には佐山氏が少し「第三極」という理念を厳格化しすぎており、ともに再建を行ってきたパートナーへのリスペクトが不十分であるように感じられるのです。経営が順調で、あえてコードシェアで収入の下支えがなくてもやっていけるという感覚はある程度理解できますが、「コードシェアの席がない」という説明には疑問符がつきます(スカイマークの2018年度の搭乗率は83.3%)。

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コメント

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1件のコメント

  1. 当時、出資比率16%のANAに業務提携を求められても、普通は拒みますよ。業務提携したいなら50%以上は出資すべき。