コンビニの軒先を戦車が通過する日常 国内では数か所のみ、実際どう走らせている?

一般車両に交じり自衛隊車両が道路を走ることはままありますが、戦車が走るとなると珍しいもの。ところがそれが特別でもなんでもない日常光景という場所が、国内に数か所あります。日常とはいえ実際の走行は、少々大変な様子です。

どこでも走れるが、どこでも走れるわけではない

 戦車は履帯(いわゆるキャタピラー)を履いており、道路はもちろん、でこぼこやぬかるんだ悪路でも走れます。しかし74式戦車は重さ38t、90式戦車は50t、10式戦車は44tもあります。ちなみに最大積載量10tの一般的なダンプトラックは、車両総重量で約20t程度です。

 そして履帯も鉄の塊であり、むやみに走り回れば路面を傷つけ、道路を破損してしまいます。実際に演習場では、非舗装路面を何台も戦車が通った後には大きな轍(わだち)ができてしまい、戦車以外は通れなくなってしまうこともよくあります。そのためか「戦車は壊し屋」と呼ばれているとか。

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雪の森林地帯を戦車が通過した後の轍。こうなると4WD車でも通行できない(月刊PANZER編集部撮影)。

 それだけに、戦車が公道を走るには色々な苦労があります。周辺自治体と走る経路、時間、走行速度、台数などを事前に調整しており、先に述べた自治体のwebサイトへの掲載もその一環です。

 74式戦車の最高速度は53km/h、90式は70km/hとされており、公道を走るぶんには十分な速力が出せるのですが、40tから50tもある戦車がそんな速力を出せば、激しい振動や騒音、砂埃が起きて、道路やそれに付随する橋などの施設を破損しかねません。周辺住民にも迷惑がかかります。

 そのようなわけで、自治体との合意の上で、通常は10km/h程度という速度でゆっくり走ります。履帯には、騒音や路面の破損防止のためゴムパッドが取り付けられ、そして経路のほうも、当然ですが路面や橋梁が戦車の通行に対応できる充分な強度を持っている道路が使われます。

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後に戦車8両が来ると予告する先導車、それに続く90式戦車(月刊PANZER編集部撮影)。
後衛車にはこの先何台の戦車が走っているかを表示(月刊PANZER編集部撮影)。
「追越注意」掲げる90式戦車、追い越すタンクローリー(月刊PANZER編集部撮影)。

 移動に際しては、部隊単位でまとまって車列を作り、駐屯地を出発します。車列の前には戦車が来ることを予告する先導車が走り、何台の戦車が走っているかを掲示、また最後尾には、この先に戦車が走っていることを知らせる後衛車が付きます。低速の車列ですので、一般車がどんどん追い越し、あいだにも入ってきます。戦車の後部には「追越注意」の看板が取り付けられ、操縦手の視界は自動車よりもずっと狭いので、乗員は砲塔から体を乗り出して前後を常に見張り、乗員間で周囲の状況を確認し合っています。

【写真】74式戦車が道路に続々、大和駐屯地近辺のかつての日常光景

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