コンビニの軒先を戦車が通過する日常 国内では数か所のみ、実際どう走らせている?

一般車両に交じり自衛隊車両が道路を走ることはままありますが、戦車が走るとなると珍しいもの。ところがそれが特別でもなんでもない日常光景という場所が、国内に数か所あります。日常とはいえ実際の走行は、少々大変な様子です。

地域住民にはさして珍しくもない光景

 地域の人たちのクルマは慣れたもので、この戦車の移動車列をスムーズにパスしていきます。戦車も、タイミングを見計らって減速したりして譲ります。さすがに戦車に対しあおり運転をするような人はいません。

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横断歩道の汚れ防止のため戦車通過直前に手作業で散水する(月刊PANZER編集部撮影)。
慎重に交差点を左折する10式戦車(月刊PANZER編集部撮影)。
走行は夜間も。昼間と違った緊張感を強いられるという(月刊PANZER編集部撮影)。

 経路の要所には自衛隊員が警戒に立ち、戦車が旋回する交差点には掃除道具、路面が乾燥しているときには水の入ったポリタンクが用意されています。戦車が旋回する際には、ゴムパッドを付けた履帯が路面を強く擦るため、その停止線や横断歩道の白い塗面を黒く汚してしまいます。そこで戦車が通過する直前に、ポリタンクから水をまき摩擦を減らして汚損を防ぐのです。このポリタンクや水も駐屯地から大型トラックで運んできたもので、細かくはく離したゴムパッドの破片も丁寧に回収するなど、大変な気の使いようです。

 動く戦車をこれほど近くに見られる機会は、駐屯地開放日でもめったにありません。足元から地響きが伝わってくる大迫力シーンなのですが、地元の歩行者も一般車も見慣れた光景なのか、特に驚いた様子を見せません。待ち構えるファンとたまたま通りかかった旅行者が写真を撮っているか、近所の親子連れが散歩の途中で眺めているくらいです。

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散歩の途中で90式戦車を見送る親子。結構な迫力だが動じる様子はない(月刊PANZER編集部撮影)。

 戦車の移動はこのように大ごとなのですが、一方で配備が進む16式機動戦闘車はタイヤを履く「装輪式」です。戦車より軽量の26tで、履帯のように道路にも負荷がかかりませんので、こんな手間は掛からず、自治体が移動予定を告知することもありません。トラックと同じように普通に公道へ出ていき、高速道路も走ります。これが16式のメリットとも言われています。

 もっとも有事ともなれば、戦車もこのように準備万端で「行儀良く」は走ってはいられないでしょうから、あくまでこれは「平時だけのメリット」と言えなくもありません。

【了】

【写真】74式戦車が道路に続々、大和駐屯地近辺のかつての日常光景

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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