なんとか免れた荒川決壊による東京水没 そのとき、地下鉄駅はどうなるのか?

高潮により、深い浸水リスクのある地下駅

 次に、高潮が発生した場合のリスクをみていきましょう。なお「高潮」とは、強風による海水の吹き寄せと低気圧による海面上昇とで起き、海水が陸地へ押し寄せることをいいます。

 台風19号などでは都内に大きな被害をもたらす高潮は起きませんでしたが、高潮の恐ろしさは、1959(昭和34)年の伊勢湾台風を思い起こせば実感させられます。死者・行方不明者5098人の犠牲者を出しましたが、その多くは伊勢湾の海水が名古屋市内などに押し寄せた高潮によるものです。

 高潮も、前述の洪水と同じく広範囲に深く(高く)押し寄せるリスクが想定されています。

 高潮発生により、深い浸水リスクのある地下駅(東京都内)は以下の通りです。

●浸水深5メートル以上
東京メトロ東西線 東陽町・南砂町駅
都営地下鉄新宿線 西大島・大島駅

●浸水深3メートル以上
東京メトロ東西線 門前仲町・木場駅
東京メトロ半蔵門線 清澄白河・住吉・錦糸町・押上駅
都営地下鉄浅草線 押上駅
都営地下鉄新宿線 森下・菊川・住吉・瑞江駅
都営地下鉄大江戸線 両国・森下・清澄白河・門前仲町駅

●浸水深1メートル以上
東京メトロ日比谷線の日比谷・東銀座駅、都営地下鉄大江戸線の汐留駅、京急空港線の天空橋駅、りんかい線天王洲アイル駅など約30駅

※「東京都高潮浸水想定区域図」(東京都建設局)より筆者が地図を読み取って作成。

 東京の東部低地では、海から約20キロ離れた足立区北部まで高潮が到達する想定には驚かされます。渋谷や新宿など山手エリアや銀座中央通り周辺には高潮はやって来ない想定ですが、JR新橋駅西口付近や東京メトロ日比谷駅周辺(浸水深1~3メートル未満)、JR有楽町駅付近(同0.5~1メートル未満)なども浸水エリアとなっています。

【地図】東京湾で高潮発生時に想定される被害範囲

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