なんとか免れた荒川決壊による東京水没 そのとき、地下鉄駅はどうなるのか?

鉄道各社の台風、高潮対策は?

 また、高潮は川を遡るので、以下のエリアなどにも襲来します。

・JR中央線 水道橋・飯田橋駅付近(日本橋川沿いで浸水深1~3メートル未満)
・JR山手線 大崎・五反田駅付近(目黒川沿いで同1~3メートル未満)
・都営地下鉄大江戸線 麻布十番駅付近(古川沿いで同1~3メートル未満)

 海辺にある羽田空港国内線ターミナル駅付近は、かさあげされているため大丈夫なのですが、同国際線ターミナル駅付近は、そのすぐ西側まで浸水する想定です。

 先述の想定条件は、これまで日本を襲った最大規模の台風(1934年室戸台風クラス:910hPa)により高潮が発生した場合です。東京都建設局では、浸水深や浸水区域を「高潮浸水想定区域図」として公表しています。

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東京メトロ南北線の赤羽岩淵駅に設けられている密閉型防水扉(2018年8月、内田宗治撮影)。

 鉄道各社では、対策にとりかかっています。地表が水没した場合、地下鉄駅へと水の流入口となるのは、「駅出入口」、「換気口」、「坑口」(線路が地上に出る部分)です。

 深い浸水が想定される駅出入口には、出入口を完全に遮断する密閉式の防水扉、それ以外の所では、止水板を用意しています。

 換気口は銀座線、丸ノ内線、東西線など比較的古くから建設された地下鉄にあり、歩道の路面に網を敷いてその部分に作られています。これらには浸水感知器が付いた換気口浸水防止機を設置しています。坑口には防水ゲートの設置が進められています。

 荒川決壊で首都水没、ということは免れましたが、こうしたケースも想定し、日ごろから情報に接し、いざという時に冷静で的確な行動が取れるように備えておきたいものです。

【了】

【地図】東京湾で高潮発生時に想定される被害範囲

Writer: 内田宗治(フリーライター)

フリーライター。地形散歩ライター。実業之日本社で旅行ガイドシリーズの編集長などを経てフリーに。散歩、鉄道、インバウンド、自然災害などのテーマで主に執筆。著書に『関東大震災と鉄道』(ちくま文庫)、『地形で解ける!東京の街の秘密50』(実業之日本社)、『外国人が見た日本 「誤解」と「再発見」の観光150年史』(中公新書)』ほか多数。

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