2階建て、展望席… 独創的なアイデアやデザインの特急電車 その歴史を変えた車両5選

鉄道会社の看板とも言える特急電車。各社とも、最新の技術やこだわりのデザインをふんだんに詰め込んでいます。日本の特急電車を語る上で欠かせない車両を5つ選んでみました。

日本初の2階建て車両、近鉄10000系

 国鉄が151系電車をデビューさせたころ、私鉄でも革新的な車両が登場しました。近畿日本鉄道(近鉄)が開発した10000系電車「ビスタカー」がそれで、2階建ての鉄道車両はこれが日本初です。

 当時、近鉄では国鉄151系電車の登場に強い危機感を抱いていました。近鉄は大阪線と名古屋線の線路幅が違っていたため、近鉄を利用して大阪と名古屋を移動するには、途中の伊勢中川駅(三重県松阪市)で乗り換えが必要でした。そこで、名古屋線の線路幅を変更するとともに、魅力的な特急電車を導入することで、国鉄との競争に打ち勝とうと考えたのです。

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10000系電車「ビスタカー」を受け継いだ30000系電車「ビスタEX」の2階建て車両(2017年6月、伊原 薫撮影)。

 そして、議論のなかで生まれたのが2階建ての鉄道車両でした。アメリカで走っていた2階建て客車「VISTA DOME」がモデルといわれており、7両編成のうち3号車と5号車が2階建て構造とされました。さらに、この2階建て車両を含む3号車から5号車は、連結部分に台車がある「連接構造」を採用することで、乗り心地の向上なども図られました。

 10000系電車は試作車的な存在として1編成のみが製造され、151系電車より4か月早い1958(昭和33)年7月に営業運転を開始。その特徴的な構造に加え、座席のラジオ設備やクーラーなども大きな注目を集めました。この成功を踏まえて、近鉄では翌1959(昭和34)年に同じく2階建て・連接構造の10100系電車を開発。こちらは3両編成18本が製造され、大阪~名古屋間の直通運転開始とともに、近鉄特急の顔として活躍しました。以来、「ビスタカー」は近鉄特急を代表する車両のひとつとなり、今も30000系電車「ビスタEX」が走っています。

【写真】羨望の的、ハシゴを上って運転席へ

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