2階建て、展望席… 独創的なアイデアやデザインの特急電車 その歴史を変えた車両5選

鉄道会社の看板とも言える特急電車。各社とも、最新の技術やこだわりのデザインをふんだんに詰め込んでいます。日本の特急電車を語る上で欠かせない車両を5つ選んでみました。

最前部を客室とした名鉄7000系電車「パノラマカー」

 近鉄で2階建て車両が登場した数年後、こちらも鉄道業界に旋風を巻き起こす車両が登場しました。1961(昭和36)年に登場した、名鉄7000系電車です。

 近鉄は国鉄151系電車に対抗して「ビスタカー」を生み出しましたが、名鉄は自動車に対抗する必要性を感じていました。鉄道としての魅力を失わない新たな車両開発が検討されるなか、経営層の「これまでの展望車は列車の最後部にあるため、“過去”しか見られない。これから造る展望車は“未来”が見えるものでなければならない」という思いから、最前部を展望室とすることになりました。

 ただし、前面展望室を実現するには、踏切事故などが起こった際に展望室の乗客をどう守るか、という大きなハードルがありました。これを解決したのが、前面窓下に設置された油圧ダンパーです。万が一、踏切で大型トラックと衝突しても有効に機能するよう、トラックの荷台と合わせた高さに設置されました。実際7000系電車はデビュー後に、踏切でダンプカーと衝突事故を起こしましたが、その時もダンパーが有効に働き、展望室の乗客は無事でした。

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「パノラマカー」と名付けられた名鉄7000系電車(2009年7月、伊原 薫撮影)。

 最前部を展望室としたことから、運転席はその上に設置されました。運転士は車体外側のハシゴを使って運転席へ出入り。ここを上り下りする姿は子どもたちの羨望の的だったともいわれています。

「パノラマカー」と名付けられた7000系電車は、乗客や鉄道ファンのあいだでたちまち大人気となりました。今や「名鉄カラー」となった赤色を初めて身にまとい、弟分に当たる7500系電車と合わせて180両以上が登場。豊橋~岐阜間の本線をはじめ、各支線でも活躍し、まさに名鉄の代名詞的存在となりました。やがて、1988(昭和63)年に後継車となる1000系電車「パノラマsuper」が登場すると、特急運用から順次引退。それでも7000系電車の人気は衰えず、約半世紀にわたって走り続けました。2008(平成20)年末に定期運用を終え、翌年8月の臨時列車を最後に全車が廃車されましたが、その輝かしい歴史は今なお語り草となっています。

 昔も今も、特急車両には鉄道各社の想いが詰まっており、それが子どもから大人まで多くの人々を引きつけています。これからも、個性的な特急電車が私たちを楽しませてくれることでしょう。

【了】

【写真】羨望の的、ハシゴを上って運転席へ

Writer:

鉄道ライター。乗り鉄・撮り鉄のほか、鉄道旅で酒を楽しむ「飲み鉄」や列車を貸し切って遊ぶ「借り鉄」の普及に勤しむ。最近は、鉄道と地域の活性化アドバイザーとしても活動中。好きな発車メロディはJR北千住駅。

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