異形すぎて不採用 ドイツ偵察機「BV141」 要望どおり作ってなぜそうなった?

奇抜なスタイルは困惑のもと

 とはいえ、BV141も欠点がないわけではありませんでした。搭載するBMW801空冷星形エンジンが頻繁にオーバーヒートを起こし、また油圧系統に問題を抱えていました。そのため、一応、試作機の追加製作が認められたものの、合計で20機強が生産されただけで終了しました。

 一方、Fw189については、双発は単発よりトラブルや被弾に強く、無難な機体形状は汎用性に優れると判断されて、連絡、偵察、軽攻撃、レーダーを搭載した夜間戦闘機としても用いられました。総生産数は864機を数えましたが、やはり無難な方が汎用性は高かったようです。

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BV141偵察機の機首部分。操縦席下方もガラス張りなのがわかる(画像:ドイツ連邦公文書館)。

 BV141の後も、リヒャルト・フォークト技師は様々な非対称機を設計してはドイツ空軍に対して提案しています。しかし、どれも初飛行にこぎつけることはありませんでした。やはり使用する側からしたら、見た目が安心できる、違和感なく操縦できるというのも、重要といえるでしょう。

【了】

【写真】一目見て安心のスタイルでまとめられたFw189

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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コメント

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6件のコメント

  1. 重要な箇所を筆者のもっともらしい憶測でごまかすのは実に卑劣。これなら個人サイトに載ってる情報のがよっぽど有益。

    • 同じ感想を持ちました。肝心なところが「思います」では…

    • まるで個人サイトの方が信頼がおけるとでも言いたげですが、根拠は?
      それともあなたの方が真相に詳しいとでも?些か思い上がっていませんかね…
      ついでに言うと、人類の科学は詰まるところ全て「思います」で構成されています

  2. 具体的な欠点があって搭乗兵や整備スタッフから嫌われたのでしょうか、それともこの飛行機の良さが偉い人たちには分からなかったのでしょうか。
    せめて主に誰がダメ出しをしたのかくらいは突っ込んで取材してきて欲しかったですね。

    • 性能は競合機より高性能だったけど
      「いや、流石にこんな機体量産するのは面倒くさいやろ」っていう役人の意見と競合相手が政治的に強いフォッケウルフ社だったのが敗因

    • これ、フライトシミュレーターで飛ばしたことがあります。
       実はコクピットからの視界に、致命的な問題がありました。操縦席も後部の偵察席も、前後と右は単発機よりもよく見えるくらいですが、左側は前から後ろまで、広く胴体に覆われてどうしようもない。飛行中は頻繁にバンクを繰り返して、胴体の影に敵機がいないか監視しないと飛べない偵察機ですね。
       おまけに…この時代は着陸進入時、通常は左旋回で飛行場上空を一周するのですが、肝心の滑走路が非常に見えにくい。なので他機とのニアミスも起きやすい。実戦どころか、ただ飛ぶだけで大問題です。
       アイディア倒れの飛行機と言えますが、実際に作ってしまうところがすごい。当時はもちろん、パソコンベースの安価で高性能なフライトシミュレーターなんてありませんでしたが、図面を見るかモックアップを作ってコクピットに座ってみれば、欠点はよく分かるでしょうに。