クルマだと普通ない「RF車(リアエンジン フロントドライブ)」 「戦車」にはある謎

戦車のエンジンは、大きく重いため、どこに積むかは重要です。また出力を起動輪(駆動輪)に伝えるトランスミッションも重要です。これらをバランス良く配置し、なおかつコンパクトにするために戦車開発者たちは知恵を絞りました。

RR方式に大きく貢献 エンジンと変速機の一体化

 エンジンと操向装置を小型化でき、さらに一体化(パワーパック化)できれば、戦車にとってメリットは大きく、またRR化しやすくなります。第2次世界大戦末期に登場したアメリカ製M26「パーシング」重戦車などが比較的早い段階でパワーパック化されたもので、実際、これ以降のアメリカ戦車はすべてRRとなりました。

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リアエンジン、フロントドライブの61式戦車。車体前面にボルト止めの大きなハッチが設けられている(柘植優介撮影)。

 その後、1960年前後になると、ヨーロッパ各国でもパワーパック化に次々と成功し、フランスやドイツの戦車もRRになりました。こうして、世界の戦車の主流はRR構造になっていきました。

 他方で、ソ連戦車はパワーパック化こそできませんでしたが、前述したように早くからRR化されていました。そのため、ソ連の友好国であった東ヨーロッパ諸国や中国などは早い段階でRR戦車を装備していました。

 日本については、戦後初の戦車である61式戦車ではエンジンと操向装置のコンパクト化ができず、第2次世界大戦中の旧日本軍戦車やアメリカ製戦車と同じ、RF構造でした。日本戦車でパワーパック化を達成しRR構造になったのは、61式戦車の次に登場した74式戦車です。

 そして、そのあとの90式戦車や10式戦車では、パワーパックの高出力化、コンパクト化が進められ、いまや日本戦車も現役で使われているのはすべてRRです。

【了】

【写真】90式戦車のエンジンを外す90式戦車回収車

Writer:

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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