姿消す路線バス「左の最前列席」運転席の左後ろ バスファンの特等席 その理由とは

路線バス車両で、前扉と近い左の最前列に座席がないものが増えています。バスファンにとって特等席ともいえる座席ですが、この席をなくしたことで、様々なメリットも生まれています。

いすゞと日野のバスは「左の最前列席なし」が標準

 路線バスで、前扉に近い左の最前列席を廃止した車両が増えています。左前方のタイヤハウス(タイヤやサスペンションが納まる部分)上、少し高い位置にある座席のことです。前面の展望を存分に味わえる席でもありますが、なぜなくなっているのでしょうか。

 東急バスによると現在、いすゞと日野の一般的な大型路線バス車両では、この左前方タイヤハウス上座席のない仕様が標準になっているため、今後も置き換えが進むにつれ、そのような車両が増えていくといいます。

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左の最前列席がないバスの例(2020年1月、乗りものニュース編集部撮影)。

いすゞによると、この席をなくしたのは2015年、大型路線バス車両のフルモデルチェンジ時で、同社とともに車両製造会社のジェイ・バスから供給を受けている日野も同様です。その大きな要因は、燃料タンクを左前方タイヤハウス上に移設したことです。

 以前は車内の中ほど左側に、横向きの優先席があり、その下に燃料タンクがありました。これを移設し、優先席を前向きにして、床のフラットなエリアを拡大したのです。「横向きの優先席は立席のスペースが減ってしまうほか、急ブレーキの際、身体が大きく振れる恐れもありました」(いすゞ)といいます。

 燃料タンクの移設、そして左前方タイヤハウス上の座席をなくしたことについて、いすゞは次のようなメリットも挙げます。

・タイヤハウスに伝い歩き用の手すりを設け、乗客の車内移動がしやすくなった。
・タイヤハウス上の座席をなくしたことで、運転席から左側の視界が開け、巻き込み確認がしやすくなった。
・車外の給油口も位置が高くなり、給油作業がラクになった。

 なお、左前方タイヤハウス上に座席を設けることも対応可能ではあるものの、代わりに右側タイヤハウス上の座席をなくして燃料タンクを移設する必要があるそうです。

路線バスの座席配置いろいろ 「ラッシュ型」「郊外型」etc…

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コメント

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6件のコメント

  1. タイヤハウス上座席は席ゆずれ圧力がかからないから好きだ。
    腰悪くして、揺れる車内ではできるだけ着席したいし。

  2. でも、やっぱり残してほしい席だな。
    やっぱり前面展望は気持ちがいいよ。

  3. 例えば京阪バスだと右側タイヤハウス上も座席ないタイプがありますね。つかこのタイプだと両方タイヤハウス上に座席ないな。なお左側に立った時には短距離区間しか乗らないこともあって荷物置きにしてます……本当はしちゃダメなのね……。

  4. ?前軸の軸重割れ対策じゃなかったのか?
    床を低くした副作用だろ
    燃料タンクを縦長に容積増量や要は排気ガス対策など自重や定員分布の計算上の結果とは違うねか?

  5. >乗客の車内移動がしやすくなった
    ノンステップバスになってから基本的に車内移動しにくいです。

  6. 普通の席は前後の感覚が狭すぎるから最前列の席じゃないと足が入らないんだよね
    普通の席に座ろうとすると足を開いて座らないと無理