午前4時 山手線一番列車に乗ってみる 交錯する「朝の人」と「夜の人」 その人間模様
JR山手線は徐々に「通勤電車」の様相へ
各ドアから5、6人ほどが乗り込み、座席がすべて埋まったのは5時52分の高田馬場駅でした。立ち客も10人以上見られます。
池袋駅では15人ほどが乗り込み、以降は東の空が白んでいくのに合わせて、山手線は早朝の電車から「通勤電車」へと様相を変えていきます。夜の延長上の人たちやハイキングに向かう人たちによって醸成された1周目の牧歌的な雰囲気はすでにありません。周りの人は皆、新聞を読んだり、スマホをいじったり、あるいは眠っていたり、自分だけの時間を過ごしています。
6時34分、車内から眺める品川駅のホームには整列乗車の列が形成され、各ドアから10人以上が乗り込んで来ました。いよいよ東京の通勤ラッシュが始まるのだと実感します。きっとこれからは、列はどんどん伸びていくのでしょう。
仕事に向かうであろう人たちと入れ替わりで、私は6時37分に大崎駅で下車しました。コンコースには、乗り換えのために早足で移動する人もいれば、6時45分オープンのそば店に並ぶ人も。6時15分から営業している駅ナカのカフェは席の8割ほどが埋まり、駅にはにぎやかな平日朝の空気がありました。
【了】
Writer: 蜂谷あす美(旅の文筆家)
1988年、福井県出身。慶應義塾大学商学部卒業。出版社勤務を経て現在に至る。2015年1月にJR全線完乗。鉄道と旅と牛乳を中心とした随筆、紀行文で活躍。神奈川県在住。
経歴に大学名書く必要あるんでしょうか