ロンメル元帥が行った「ハリボテ戦車大軍団作戦」 だまし合いの戦場 イギリスも対抗

ハリボテを用いた欺瞞作戦は現在でも有効

 こうしたハリボテを用いた作戦は、1944(昭和19)年6月6日に実施された、ノルマンディー上陸作戦の偽装工作でも使われました。イギリスはじめ連合軍は、大規模な戦車部隊や車両群をハリボテで作り、イギリス南部に展開し、上陸目標はノルマンディーではなくパ・ド・カレーだとドイツ軍に思い込ませたのです。

 このときドイツ軍の欧州西方の守備を指揮いたのは、北アフリカの功績などで元帥にまで昇進していたロンメルで、ノルマンディーへの連合軍上陸の一報を聞き「私はどうかしていた。大馬鹿者だ」とつぶやいたといわれています。

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ドイツ陸軍のロンメル中将(当時。のち元帥)。第2次世界大戦の北アフリカ戦線にて(画像:ドイツ連邦公文書館)。

 実はこうしたハリボテでの騙し合いは、現在でも状況によっては有効とされています。コソボ紛争にアメリカなどNATO諸国が介入する形で、1999(平成11)年3月から始まったユーゴスラビア軍に対する空爆では、同軍のダミー戦車を本物と間違って、かなりの数を破壊したことなどが報告されています。また、アメリカ陸軍では近代的なダミー戦車の研究も行っているようです。

【了】

【写真】北アフリカ戦線 ハーフトラック指揮車「グライフ」に座乗するロンメル中将

Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)

ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

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