陸の巨砲と「大和」の奇妙な符合 WW2ドイツは「カール自走砲」でなにをしたかった?

戦争は戦術や兵器の研究開発を加速し、大きな変革をもたらしうるものですが、それに取り残された兵器は不遇な末路を辿ることになります。戦艦「大和」しかり。そして陸上でも、古い思想で作られたドイツの巨砲が時代に取り残されました。

カール自走砲の発想は旧来の「攻城戦」

 カール自走砲は1935(昭和10)年ごろから対フランス戦に備えて、国境地帯にフランスが建設した要塞群(マジノ線)を攻撃するために研究が始まりました。

 1937(昭和12)年に基本設計案ができ上がり、主砲の口径60cmという大きさはマジノ線の要塞のコンクリートの厚さなどを研究して決定されます。堅固に守られた要塞を大きな火砲で攻撃して無力化しようというのは、第1次世界大戦型の、攻城戦の発想です。

 先に述べたように、初速が遅く命中精度も良くありませんが、目標は動かない要塞であまり問題ではありませんでした。1940(昭和15)年11月から翌年8月までに、試作車を含めて7両が製造されます。

 しかしその巨大兵器を無用の長物にしたのは、ほかならぬドイツ軍自身でした。

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IV号戦車の車体を改造した弾薬運搬車から弾薬を補給するデモンストレーションの様子(画像:アメリカ公文書館)。

 対フランス戦は、カール自走砲が完成する前の1940年5月に始まり、6月25日には終結してしまいます。ドイツ軍の戦法はマジノ線を事実上無視して、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクに迂回し、要塞群の無いアルデンヌ地方から空軍の支援を受けた戦車中心の機甲部隊でフランス国境を突破する、いわゆる「電撃戦」でした。このあたりのいきさつは、戦艦「大和」を造りながら空母機動部隊で真珠湾を攻撃し、大艦巨砲主義を否定した日本海軍を彷彿とさせます。

【写真】カール自走砲 砲撃の瞬間 ほか

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