線路走っていけばいいのに… 鉄道車両なぜトレーラー輸送? 「線路未接続」以外のワケ

車体の大きな新幹線 そもそも線路を走らない新交通システム

 鉄道車両のなかでも、新幹線の車両は現状、陸送にせざるを得ません。

 新幹線は車両の幅が在来線より約50cm広く、全長も5mほど長いため、在来線の線路の周囲にある構造物やホームなどに車体が支障してしまいます。

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横浜港から東京メトロの中野車両基地へ向かう元 丸ノ内線の500形(2016年7月、恵 知仁撮影)。

 かつて東海道新幹線の車両は、愛知県豊川市にある日本車両製造から静岡県の浜松工場まで、JR飯田線および東海道本線の線路を使って輸送していましたが、この区間は新幹線の車両が通れるように、通過できる車両の限界を大きくしてありました。現在は東海道本線の列車本数が多いこともあり、東海道新幹線の車両も陸送されています。

 また、兵庫県神戸市の川崎重工業車両カンパニーで製造される東北新幹線用の車両は、工場裏の運河から、海上輸送で宮城県仙台市の仙台港まで運んだのち、陸送で宮城県利府町にある新幹線総合車両センターまで運ばれます。海上輸送には、先述の特殊車両通行許可を得る区間が短くて済むメリットがあります。

 鉄道車両といっても、新幹線のようにサイズが大きかったり、新交通システムのように線路を走らなかったりする車両では、陸送以外の選択肢はありません。新幹線ほど大きな車両を陸送するとなると、輸送中に支障のないよう、あらかじめ道路信号機の移設や歩道橋の作り直しなども行われる大掛かりなものになります。

 甲種輸送と陸送、双方とも制約や手間はありますが、車両や鉄道会社の事情などを勘案して、どちらの手段をとるかが決められています。

【了】

【写真】トレーラーで運ばれていく、懐かしい「0系」新幹線

Writer: 児山 計(鉄道ライター)

出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。

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コメント

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2件のコメント

  1. 阪急だと今は日立製だから船で運んで最終トレーラー輸送でしたっけ。京阪7200系は阪神淡路大震災の絡みでいつもは川重からトレーラーなのに大阪港まで船で運んでそこからトレーラーだったとか。
    新幹線だとJR西日本は福岡なので近車製はもちろん日立製でも船で博多港に運んでたんですかね。

  2. 海上輸送・・