道路の「流れる光」設置続々 速度回復&渋滞緩和だけじゃない光のマジック

道路の側方に連続して設置された灯具を、クルマの進行方向へ流れるように点灯させていくというシステムの採用が増えています。渋滞緩和を目的とするケース多いですが、実は速度の抑制など、幅広い使い道がある「光のマジック」です。

渋滞量65%減 「速度回復誘導灯」効果大

 2020年4月現在、高速道路を中心に、道路の側方に連続して設置された灯具をクルマの進行方向へ流れるように点灯させていくというシステムの採用が増えています。首都高では「エスコートライト」、NEXCO東日本では「ペースメーカーライト」など、道路管理者ごとに様々な呼び名があります。

 その多くは渋滞の緩和が目的です。阪神高速では「速度回復誘導灯」として、これまで慢性的な渋滞ポイント3か所に設置し、2020年度も2か所に追加する予定とのこと。

 渋滞の多くは、下り坂からゆるやかな上り坂へ変化する「サグ」と呼ばれる部分において、ドライバーが意識しないあいだに速度が低下してしまうことで発生しています。そこで渋滞の発生に応じ、光を走行速度より速いスピードで流すことにより、ドライバーの視線を誘導し、速度回復を促すというものです。

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外環道外回りに設置されている「ペースメーカーライト」(2018年5月、中島洋平撮影)。

 このシステムをNEXCO中日本と共同で開発した名古屋電機工業(愛知県あま市)は、仕組みについて次のように話します。

「人間は、視界に入る景色が動くことで自分が動いていると感じ、また光に追従する性質を持っています。走行中の視界で光が流れ、それに『置いていかれている』ように感じれば、スピードを回復しようとするのです」(名古屋電気工業)

 たとえば、阪神高速3号神戸線の渋滞ポイントである上り線の深江出入口付近、通称「深江サグ」では、速度回復誘導灯の無点灯時と点灯時を比べると、渋滞量(渋滞のボリューム感を、渋滞の長さと時間を掛け合わせて算出する目安値。「km・時」で表す)が1日平均4.7km・時から1.6km・時と、実に65.3%も削減されたといいます。

 一方、NEXCO中日本ではこのシステムを「ドライブ・アシスト・ライト」と呼称しています。これには、速度回復による渋滞緩和だけではない、幅広い目的が込められているようです。

【画像】「光のマジック、フル活用!」な東名阪道

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