法的にどうなの? 尖閣周辺に中国公船が侵入&日本漁船を追跡 海保が可能な対応は…

尖閣諸島周辺海域に侵入を繰り返し、日本の漁船を追い回すことも辞さない中国船、法的にはどのように扱われるのでしょうか。2020年5月8日に発生した事案を例に、国際法や中国の狙い、海上保安庁の活動などについて見ていきます。

海上保安庁には何ができるの?

 こうした中国海警局の行動に対して、尖閣諸島の警備に従事している海上保安庁はどのように対応できるのでしょうか。

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尖閣諸島周辺海域における中国公船などの動向(画像:海上保安庁)。

 先ほど確認したUNCLOSの25条には「沿岸国は、無害でない通航を防止するため、自国の領海内において必要な措置をとることができる」と規定されています。これは沿岸国の保護権というもので、海警局の船が無害通航を行っているとは考えられない場合には、海上保安庁はこの保護権の行使を認められ、かつ相手の行動と釣り合いがとれる範囲内で、海上保安庁法第18条2項などによる措置をとることになります。

 たとえば、海警局の船に対して日本の領海外への退去を要請したり、あるいは針路を変更するための接近をしたり、さらに日本漁船を保護するために海警局の船と漁船とのあいだに割り込んだりといった措置をとることが可能でしょう。また、もし海警局の船が海上保安庁の船に対して放水や進路妨害を行ってきた場合には、海上保安庁側も同様の措置を実施することが可能でしょう。

 他方で、武器を使用して追い出すべきだという主張も時折、見られますが、そのような強硬な措置をとることは中国側の活動と比較した場合の均衡性を欠いてしまうほか、かえって事態のエスカレーションを招き、問題をさらに複雑なものとしてしまうため、適法かつ妥当な方法とはいえません。

 現在、中国は尖閣諸島における日本の実効支配を弱めるために海警局の船を活動させています。こうした中国の考えをくじくためにも、海上保安庁が行っているような継続的かつ実効的な活動が必要不可欠であるということがいえそうです。

【了】

【画像】その広さ ひと目で納得 尖閣諸島周辺の領海

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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