京王井の頭線 渋谷駅を出るとトンネル連続 何をくぐる? 意外と知られぬふたつの理由

京王井の頭線ふたつのトンネル 何をくぐっているのか

 井の頭線の渋谷付近のトンネルも、東横線のかつての代官山のトンネルも、渋谷川と目黒川との分水嶺を貫くもので、山岳地帯の峠のトンネルのミニ版といった性格です。渋谷駅に降った雨は渋谷川へと流れ、その後、古川へ名前を変え広尾や麻布十番を経て、浜松町付近で海に注ぎます。一方、渋谷を出てふたつめの神泉トンネルの先に降った雨は、目黒川に注ぎ五反田を経て、京急新馬場駅の先で海に出ます。

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線路をまたいで横切る道路が三田上水跡。神泉トンネルの駒場東大前駅側坑口(2013年、内田宗治撮影)。

 井の頭線のトンネルのもうひとつの特徴は、神泉トンネルの上を三田上水が横切っている点です。三田上水は江戸時代に造られたもので、玉川上水から枝分かれする水路のひとつです。いずれも江戸の町に飲料水などをもたらすために造られました。

 1653年に完成した玉川上水は、奥多摩の入口にあたる羽村で多摩川から取水し、四谷大木戸(現・四谷四丁目交差点付近)まで約43kmに及ぶものです。三田上水は現在の京王線笹塚駅付近で玉川上水から取水し、現在の港区高輪や三田方面へと水を導く水路で、1660年代半ばの完成です。そうした由緒ある歴史的遺構が、神泉トンネルの上にあるわけです。

 鉄道の歴史に目を向けると、特に明治時代、江戸時代の上水(飲料水用)、用水(農業用)の下に鉄道トンネルがいくつも造られています。現在の山手線目黒駅の場所にも、かつて長さ約37mの永峯トンネルがあり、こちらも上を三田上水が横切っていました。同トンネルは1885(明治18)年竣工、関東で初めての鉄道トンネルでしたが、1918(大正7)年、山手線が複々線化される際に撤去されていて、残念ながら2020年現在、その痕跡はまったく残っていません。

【写真】山手線にあった関東初の鉄道トンネル

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コメント

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3件のコメント

  1. まず…つぎに…というのは文章を書く訓練をしたことがない人が書く文章の特徴な気がする
    内容はおかしくないけど

    • 違和感ある文章では無いと思いますが?
      その程度で難癖付けるなら見ない方が良いのではないでしょうか。

  2. 山手線が渋谷の前後で地形の変化を感じない理由は記事のとおりでわかったが、それだけでは銀座線と上下が逆転している理由にはならない。
    基本的に地上を走る山手線と地下を走る銀座線なら共に標高が一定している限り上下が逆転することはないから、そうでないということは少なくともどちらかはこの駅の前後で大きなアップダウンがあるはずだ。