京王井の頭線 渋谷駅を出るとトンネル連続 何をくぐる? 意外と知られぬふたつの理由

鉄道より高い所を流れた上水 その理由とは

 なぜ周囲より高い所に、江戸時代の上水、用水路が通っているかというと、こうした水路は当時としては高度な測量技術のもと、周囲より低い谷ではなく、周囲より高い尾根伝いを通るようにルート設計されているためです。電動ポンプなどない時代、水はいったん低い所に流れてしまったら、その先、高い所に流れていかないので、高さを維持しながら流したいためです。

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駒場野公園(目黒区)内の水田。かつて三田上水沿いに水田が点在した(2015年、内田宗治撮影)。

 JR中央線の信濃町~四ツ谷間には御所トンネルという名のトンネルがいまもありますが、それとは別に四谷トンネルという名のトンネルが、現在の四ツ谷駅の地(新四谷見附橋が架かる場所)にありました。長さ約26m、1894(明治27)年開通時のものです。このトンネルの上にも、玉川上水の終点である四谷大木戸から皇居半蔵門方面への水路が設けられていました。

 さらに例を挙げれば、日本で最初に造られた鉄道トンネルは、水路をくぐるものでした。現在の神戸市内を走るJR東海道本線 住吉~六甲道間で、1874(明治7)年に造られた石屋川トンネル(現存せず)です。

 たとえば渋谷トンネルの場合、坑口付近は地盤を直接掘る開削工法、中間部は硬い地盤を掘る山岳工法横穴式などで掘削されています。神泉トンネルは上を三田上水が通っていなければ、切り通しとなったか、もっと短いトンネルとなったかいずれかと思われます。井の頭線のトンネルは、江戸時代の歴史を思い出させてくれる場所でもあるわけです。

【了】

【写真】山手線にあった関東初の鉄道トンネル

Writer: 内田宗治(フリーライター)

フリーライター。地形散歩ライター。実業之日本社で旅行ガイドシリーズの編集長などを経てフリーに。散歩、鉄道、インバウンド、自然災害などのテーマで主に執筆。著書に『関東大震災と鉄道』(ちくま文庫)、『地形で解ける!東京の街の秘密50』(実業之日本社)、『外国人が見た日本 「誤解」と「再発見」の観光150年史』(中公新書)』ほか多数。

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コメント

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3件のコメント

  1. まず…つぎに…というのは文章を書く訓練をしたことがない人が書く文章の特徴な気がする
    内容はおかしくないけど

    • 違和感ある文章では無いと思いますが?
      その程度で難癖付けるなら見ない方が良いのではないでしょうか。

  2. 山手線が渋谷の前後で地形の変化を感じない理由は記事のとおりでわかったが、それだけでは銀座線と上下が逆転している理由にはならない。
    基本的に地上を走る山手線と地下を走る銀座線なら共に標高が一定している限り上下が逆転することはないから、そうでないということは少なくともどちらかはこの駅の前後で大きなアップダウンがあるはずだ。