燃油サーチャージ「マイナス」も 原油安が旅行に追い風か コロナ禍の夏どうなる?
世界的な原油安が、航空やフェリーの燃油サーチャージを押し下げそうです。すでにサーチャージがマイナスに転じ、実質割引になっている船会社も。原油価格は上昇に転じてはいるものの、サーチャージへの影響は、遅れてやってきます。
異例の燃油サーチャージ「マイナス」
東京と小笠原諸島を結ぶ旅客船「おがさわら丸」の燃料油価格変動調整金、いわゆる燃油サーチャージが、2020年6月乗船分から「マイナス」に転じ、運賃が実質、割引になるという珍しい事態が発生しています。
「おがさわら丸」の燃油サーチャージは4月乗船分までプラスでしたが、5月乗船分はゼロに、6月乗船分からは、特等室2名利用時のひとり当たり運賃でマイナス1050円となっています。一般的に燃油サーチャージはゼロが下限ですが、マイナス分を設定して運賃に還元している小笠原海運のようなケースは珍しいといい、同社担当も「かなり久しぶりのマイナス」だと話します。
さらに7月、8月分の運賃も確定しており、7月は特等室2名利用時のひとり当たり運賃でマイナス7050円、8月はマイナス8220円まで拡大するとのこと。この2か月間はハイシーズン料金が適用されるものの、特等室の運賃はもはや、通常期に近い水準まで下がるのです。
背景には、新型コロナウイルスの影響による世界的な原油安があります。小笠原海運の場合は、ドバイおよびオマーンにおける原油取引価格の月平均に為替レートを掛けた値を基準に、毎月、燃油サーチャージを改定しているとのこと。また、この値が燃油サーチャージへ反映されるのに3か月のタイムラグを設けているそうです。
つまり6月の燃油サーチャージは、3月の原油価格が反映されているわけです。6月現在、世界の原油価格は上昇傾向にありますが、小笠原海運においては、5月および6月の原油価格が反映される「8月、9月が燃油サーチャージの底値だろう」とのことです。
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