新型コロナ対策 列車の窓開けは真夏も継続? 熱中症の時期 空調と換気の使い分けは

「窓開け」普段から臨機応変も ホームページなどで基準を周知

 本来、窓開けについても統一したルールがあれば、その通りやるのが良いのでしょうが、普段からその場での臨機応変な対応が求められているので、この夏は車掌の腕がより試されることになりそうです。

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新幹線は走行中の空気抵抗を減らすため、窓は開かない(2018年3月、恵 知仁撮影)。

 過去には、茨城県ひたちなか市を走るひたちなか海浜鉄道で、「あえて真夏に冷房のない車両を運用して、懐かしい旅情を楽しむ」という、非冷房を逆手に取った企画が行われたことがありました。車内には栓抜きが設置され、瓶のコーラを開けて飲んだり、窓からの風を受けながら外の景色を楽しんだりするイベントでしたが、毎日の通勤となれば話は別です。

 公益財団法人「日本生産性本部」の調査によれば、「新型コロナウイルス感染拡大終息後もテレワークを続けたい」と回答した人が6割を超えました。今回の騒動で通勤電車の課題が顕在化しましたが、仮に冷房が効かない通勤電車に乗らなければならないとなると、さらにテレワークをしたい人が増加するかもしれません。

 多くの事業者が、ホームページやポスターなどで窓開けを呼びかけているとはいえ、当然、明確に規定することは難しく、乗客の判断で窓の開け閉めが行われることが想像できます。

 いまでも大雨のときなどは、状況を見て乗客が窓を閉めています。ただ、鉄道側からの基準さえ示しておけば、それをもとに行動できるので、「開ける、開けない」のトラブル回避にはつながるかもしれません。

【了】

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Writer: 西上いつき(鉄道アナリスト・IY Railroad Consulting代表)

大阪府出身。大学卒業後、名古屋鉄道にて運転士・指令員として鉄道運行に携わる。退職後、シンガポールの外資系企業にて国際ビジネスに従事。帰国後は東京を拠点として活動し2019年にIY Railroad Consulting設立、コンサルティング・セミナー・海外向け鉄道関連事業等を行う。東京交通短期大学・特別講師。著書に『電車を運転する技術』。

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