旧陸軍一〇〇式重爆撃機「呑龍」の誤算 計画上は護衛機いらずの最強爆撃機 実際は…?

「呑龍」に関する陸軍の思惑は…?

 同機の計画が立ち上がった当時、陸軍は日中戦争で中華民国を相手に中国奥地の都市などを爆撃していましたが、その時代はまだ陸軍の一式戦闘機「隼」や海軍の零式艦上戦闘機(零戦)といった長距離を護衛できる戦闘機はなく、爆撃に臨んだ九七式重爆撃機などは敵機の待ち伏せに遭い、かなりの損害を負っていました。そこで当時の陸軍は、高速で戦闘機を振り切ることができ、捕捉されても大量の防御火器で撃退できる護衛が不要な爆撃機の実現、という野心的発想に至ったわけです。

 特に陸軍は当時、ソ連との戦いを想定して「航空撃滅戦」という、開戦と同時に敵飛行場に爆撃機で先制攻撃をかけ、前線の航空戦力を麻痺させる戦法を最重要としていました。そのため、カタログスペック通りに作られれば「単独で敵陣に乗り込むことができる戦闘機不要の爆撃機」になる同機には大きな期待を寄せていました。

【写真】南の島へ配備された「呑龍」

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コメント

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1件のコメント

  1. 「爆弾倉を持たず」とありますが、外に爆弾を吊した写真は見たことがありません。また、三面図にも爆弾倉の線がクッキリと書き込まれており、一方、爆弾を吊す爆弾架は描かれていません。どういう根拠で爆弾倉を持たないとお書きになったのでしょうか。不思議ですね。