旧日本陸軍 海軍にもない高性能クレーン船を運用…なぜ? 「蜻州丸」建造への経緯

潜水艦や空母などを独自に開発、建造していたことでも知られる旧日本陸軍ですが、実は海軍ですら持っていないような、高性能な特殊起重機船(クレーン船)をも建造し運用していました。名前は「蜻州丸」、その数奇な運命をたどります。

「陸軍としては海軍の提案に反対である」

 大日本帝国時代の陸軍と海軍は、政局にも大きな影響力を持つ巨大官庁でした。巨大官僚機構でもある陸軍と海軍はまず省益を守る、つまるところ政局と予算の獲得、組織維持拡大が本務と認識されている面があり、そして陸軍と海軍は予算を奪い合うライバルでした。

Large 20201204 01
1926年4月6日、公試中の「蜻州丸」。巨大な主クレーンが目立つ。煙突の白い波線が陸軍船であることを示している。

「陸海軍あい争い、余力を以って米英と戦う」――国運を掛けた戦争であったはずの太平洋戦争ですら、日本海軍と日本陸軍は必ずしも万全の協力体制にあったわけではありません。「つまらないナワバリ争い」をした事例は枚挙に暇がなく、たとえば海軍は水陸両用戦車を造りましたし、陸軍も小型輸送船から空母まで独自で船艇を建造しています。残念ながらお互い専門外のこととて、上手くいった例はあまりありません。そのような「ナワバリ争い」の結果として生まれた、日本海軍も保有していないような陸軍の、1隻の特別な船があります。特殊起重機船「蜻州丸(せいしゅうまる)」です。

 その特徴は、揚重能力150tという巨大クレーンを持ち、外洋航行もできるという点でした。海軍も湾内で使用する大小多数のクレーン船を保有していましたが、「蜻州丸」のように外洋航行ができる大型クレーン船はありませんでした。わざわざ陸軍が自前で巨大クレーン船を造ったのはなぜでしょうか。

【写真】戦艦「大和」建造にも関わった現役クレーン船「さんこう」

最新記事

コメント

5件のコメント

  1. 戦火を無事くぐり抜けたのに、戦後台風であっけなく…

    とは因果なものです。

    無事復員したのに交通事故で…という方のようです。

  2. もちろん今の陸海空は関係は良いのですよね?

  3. 砲塔砲台には、海軍は積極的に協力してますよ。

    一門に付き100発の砲弾を提供しています。

  4. 楊重→揚重

    • ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス