間もなく還暦 私鉄最多数を誇った「東武8000型」 派生型も従え今なお現役の秘訣は?

分割改造 派生の「800型」「850型」 カラーも色々

 登場からすでに50年以上が経過した東武8000型ですが、初期に製造された車両の大半は廃車され、現在も使われているのは比較的後期に製造された車両です。正面の形状は動態保存として残されている1編成を除き大改造を受けたほか、群馬県内のローカル用として、8両編成の車両から3両編成2本を捻出して組み直した800型や850型など、現在もさまざまなバリエーションを見ることができます。中には先頭車を中間車に改造し、運転台の痕跡が残る車両もあります。

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東京都内でも、亀戸線と大師線で東武8000型を見られる。写真はかつての7800系電車の塗装を復刻した車両(2017年2月、児山 計撮影)。

 塗装もバラエティに富んでおり、青いラインカラーをまとった標準塗装のほかに、東上線・越生線にはデビュー当初のツートンカラーや1974(昭和49)年に登場したセイジクリーム塗装が、さらに2019年までは往年の行楽列車「フライングTOJO」号をイメージした塗装の車両が走っていました。亀戸線や大師線には、かつての7800系電車の塗装を復刻した車両が運用されています。

 一時は712両の大所帯を誇った東武8000型も、現在は200両を切りました。所属する両数が最大の野田線も、10030型電車などの転入で徐々に数を減らしています。また群馬エリアのローカル運用にも、2両編成の10000型電車が転入し始めており、予断を許さない状況となってきました。

 臨時列車を除き、都心まで乗り入れる運用から撤退したとはいえ、野田線では現在も、最高速度100km/hの急行運転をこなすなど往年の健脚は現役です。新型車両には及ばなくても、クッション性の効いた座席や当時としては極めて滑らかな加速など、設計当初の卓越したコンセプト楽しむ目的で、東武8000型に乗ってみるのも楽しいかもしれません。

【了】

【3並び写真】8000型 往年のカラー勢ぞろい「セイジクリーム」「ツートン」そして現行塗装

Writer: 児山 計(鉄道ライター)

出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。

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コメント

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6件のコメント

  1. 上回りや台車は良かったものの
    足回りのブレーキが登場当時でも時代遅れな 電気ブレーキ(発電/回生)無し だったのだけは… 残念な車で…

    • 電気ブレーキを装備していないのは、関東平野の平らな所を走るから必要ないと考えたみたいですね。その後、東武の車両で会津方面まで乗り入れる必要が生じ、東武でも、電気ブレーキを装備した車輌が製造されましたね。

  2. タグか何か名前わからないけど、
    東武生越線ってなんやw

    • ご指摘ありがとうございます。 訂正いたしました。

  3. 当時の東武では、輸送需要の爆発的増加に応えるため、とにかく経済性が求められた。
    大量増備も見込まれるし、必要十分でオールマイティーなのがいいな。

    ならば、M車の比率を下げて電制も戸袋窓も省略。これで製造費と重量を削減。軽くなれば電気代も保線費も少しはマシに。

    M車減った分、走行性能を保つためバーニヤで加速力を限界まで引き上げとくか。
    それから、混雑対応の4ドアロングシート。
    あ、でも長距離の運用もあるから、乗り心地・掛け心地は良くしよう。よし空気ばね採用。

    きちんとした設計思想で開発され、実際に大量増備されて東武の一時代を支えた功績は大きかろう。
    そういえば軽量化と低MT比が狙うところなんかは209系と重なる気もする。

    いつまでボロを使うんだという声も聞くけれど、私の中では立派な名車。野田線ユーザーで60000系より8000系の方が乗り心地良く感じている人も居るのでは?(騒音、空調、内装の清潔感は、時代・技術の差で仕方なし)

    慣れ親しんだ東上線の池袋口で見れなくなって久しく、ブレーキの匂いが懐かしい。細くでも良いから、長い活躍を願う。

  4. 東武の一般車で、70090型(70000シリーズ)の次は80000型でしょうか?5桁の8000型があるから90000型でしょうか?