いろいろズレてる? 顔が左右「非」対称な列車たち 全ては考え抜かれた結果
旅客サービスの観点から左右非対称になった車両も
営団地下鉄は一貫して、6000系以降の新車を左右非対称の前面形状でデザインしてきましたが、民営化され東京メトロになって最初の新車である10000系電車は、貫通扉を中央に戻し左右対称のデザインとしました。これは車両故障の際、救援車両と連結した時に車両間の移動を安全に行うためですが、千代田線用に新造された16000系電車は第6編成以降が、前方視界確保の観点から左右非対称に設計変更されています。このように前面の形状は、何を重視するかで左右対称になったり非対称になったりします。
また、貫通扉が中央にある車両でも左右非対称の顔を持つ例として、西日本鉄道5000形・6000形・6050形電車が挙げられます。西鉄では運転士の視界を向上させるため、運転士側のみ窓を拡大しました。このほか引退した車両では、連結を考慮して貫通扉を中央に配置しながらも、搭載機器の関係で左右非対称になった大阪市交通局50系電車や京王電鉄6000系電車があります。
実は左右非対称の前面形状は、業務用の理由だけでなく、旅客サービスの観点から生まれたデザインもあります。名古屋鉄道5700・5300系電車やJR西日本205系電車1000番台は、運転台の後ろから乗客がワイドな前方展望を楽しめるよう、進行方向右側の窓が大きく造られています。
ただ205系に関しては、乗務員の視界を広げるために運転台側の窓を大きくしたタイプと、旅客サービスのために右側の窓を大きくしたタイプとがあります。同じ左右非対称でもコンセプトが異なるうえ、それらの車両が同じ路線で運用されている点もユニークです(2017年10月までは阪和線、それ以降は大和路線と奈良線で見られる)。
窓や扉は対称非対称両方あるけど前照灯の配置に限って言えばみんな左右対称。