いろいろズレてる? 顔が左右「非」対称な列車たち 全ては考え抜かれた結果
ヘッドライト類は左右対称が原則だが…
このほか観光列車の中には、塗装を左右非対称にして車両に個性を持たせているものもあります。展望席を備えた伊豆急行の2100系電車「リゾート21」を嚆矢に、2021年現在はJR九州の特急「指宿のたまて箱」に使われるキハ47形・キハ140形などが挙げられます。
さて、紹介してきた前面形状が左右非対称の車両でも、ヘッドライトなどの標識灯は基本的に左右対称の位置にあります。これは、かつて鉄道車両製造のガイドラインとなっていた「普通鉄道構造規則」で、標識灯の取り付け位置は「車両中心面において対称の位置に設ける」とされていたためです。
現行の「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」には、上述のような一文は記載されていませんが、標識灯をあえて左右非対称に設置する理由も特にないため、ほとんどの車両はたとえ前面形状が左右非対称であっても、標識灯は左右対称に取り付けられています。
その中で数少ない例外を挙げるとすれば、大井川鐡道のC11形蒸気機関車227号機「きかんしゃトーマス号」かもしれません。この車両は原作のトーマスに倣って、前部標識灯が進行方向右側に取り付けられています。ほかにもトーマスの目つきによっては「見た目」が左右対称になったり非対称になったりするため、大変ユニークな車両といえるでしょう。
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Writer: 児山 計(鉄道ライター)
出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。
窓や扉は対称非対称両方あるけど前照灯の配置に限って言えばみんな左右対称。