技術屋の理想&ドイツ空軍のムチャ振りに泣かされた悲運の爆撃機「ハインケルHe177」

第2次大戦中の4発エンジン搭載の大型爆撃機というと、アメリカやイギリスの機体がメジャーですが、ドイツでも作られていました。ただ、なかには双子エンジンという異形の機体も。どんな構造なのか、戦歴はどうだったのでしょうか。

エンジンナセルが最大の空気抵抗 なら数減らそう

 ところが1936(昭和11)年6月3日に、空軍トップのヴェーファー中将が航空機事故で逝去すると、ドイツ空軍は結局、陸軍との密接な連携に重点をおいた戦術空軍へと大きく舵を切って行きます。ただ、そのようななかでも一応ドイツ空軍は、長距離爆撃機を開発しようと、「A計画」なるプロジェクトを始動させました。

 このA計画に、航空機メーカーのハインケル社が名乗りを上げます。P1041計画と名付けられたプランはドイツ空軍とのすり合わせを経て、1937(昭和12)年11月に「He177」という公式呼称が付与されています。なお同機は航続距離や爆弾搭載量などの面で、ドイツ空軍にとって初めての戦略爆撃機といえる機体でした。

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ドイツ空軍のハインケルHe177「グライフ」爆撃機。イギリス空軍の手によってテストが行われているときのものなので、イギリスの国籍標識に描き替えられている(画像:イギリス帝国戦争博物館/IWM)。

 He177の注目すべき点は、4発エンジン機であるにもかかわらずプロペラが2組しかなく、一見すると双発エンジン機のように見えるところです。これは、ダイムラー・ベンツ製のDB601液冷エンジン2基を結合させた、いわゆる「双子エンジン」と呼ばれるDB606を採用したからです(後期にはDB605の双子化エンジンであるDB 610に換装)。このような構造にした場合のメリットは、飛行時に最大の空気抵抗となるエンジンナセル(エンジンカバー)部が4発エンジンであるにもかかわらず左右ふたつで済むため、空気抵抗の減少を図ることが可能という点にあります。

 当時のエンジン技術では、空冷星型エンジンを前後につないだ双子化で出力向上を図ることは比較的容易に可能でしたが、液冷エンジンを横に並べて双子化を図るのは、それなりに難しいことでした。

 加えて、He177にはとんでもない要求が空軍から課せられます。

【写真】爆弾倉オープン&エンジン交換作業中のHe177

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