2022年の鉄道は「大減便時代」本格到来か 首都圏でも朝の本数削減 外堀埋まる「ワンマン化」

明るい話題は「新線開業」

 常磐線では既に、同じE531系電車を使用する水戸線からの直通列車が友部~勝田間でワンマン運転を実施しており、今後は土浦以北を5両編成で走る列車のワンマン化に着手する可能性もあるでしょう。上述のように常磐線(各駅停車)はワンマン化が予定されていますが、いわゆる「中距離電車」のワンマン化は15両編成の運転があり、ホームドアの設置も進んでいないことから当分は困難です。そこで利用の少ない末端区間を切り離し、ツーマン区間をできるだけ縮小したいという狙いもあると思われます。

 小田急も、スイッチバック構造となっている藤沢駅で江ノ島線を分割。新宿方面からの直通列車(ロマンスカー「えのしま」は除く)は藤沢で折返し運転となり、藤沢~片瀬江ノ島間はこれまでよりも短い編成で運行されます。

Large 211227 fkcym 02

拡大画像

2022年度下期の開業を目指す、東急新横浜線と相鉄新横浜線。写真は中間に設けられる新綱島駅の様子(画像:鉄道・運輸機構)。

 年明け早々縮小一辺倒のダイヤ改正で気が滅入りますが、一方で今年は新線開業という明るいニュースもあります。新幹線では2016(平成28)年の北海道新幹線以来の新規路線として、西九州新幹線の武雄温泉~長崎間が秋に開業する予定です。在来線では、年内に開業するかは未定なものの、「2022年度下期」に東急新横浜線の日吉~新横浜間と、相鉄新横浜線の新横浜~羽沢横浜国大間が開業します。

「2019年度下期」の開業を予定していた西谷~羽沢横浜国大間は2019年11月に開業したので、同じように秋ごろ開業する可能性があります。首都圏の新線開業は、連絡線的な位置づけである相鉄・JR直通線を除けば、2010(平成22)年の京成スカイアクセス線以来の規模と言えるでしょう。このほか、福岡市地下鉄七隈線も「年度内」に天神南~博多間が延伸開業予定です。

 緊急事態宣言の解除と行動制限の段階的な緩和により昨年10月以降、在来線特急や新幹線を含む定期外利用は回復傾向にあります。加えて今月下旬には新たな「GoToトラベル」が始まることもあり、鉄道事業者は収支改善に期待を寄せていることでしょう。しかし一方で新たな変異株の懸念もあります。「日常」を取り戻すための歩みは前進するのか、はたまた後退するのか。2022年は大きな分かれ目となりそうです。

【了】

【“藤沢シャトル”で見納めに】小田急江ノ島線のスイッチバック

Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

4件のコメント

  1. ロマンスカーVSEの廃車は、経年劣化と車体更新の困難で2023年秋頃と公式発表されています。「観光輸送低迷により大幅減便。秋の廃車」 という記載はいささか正確性に欠くと思います。

  2. ワンマン運転へ、とあるがこのライター枝久保達也は元メトロ社員のようだが、
    メトロは昔からワンマン運転してる路線が複数あることを、まるで無かったように語ってるのはいかがなものか。
    自分のとこは棚にあげてるのか。

  3. 他国では地下鉄が負う分野である都市交通もJRや私鉄といった鉄道が多く分担してしまっており、客を立たせて、見かけ上1人kmあたりのエネルギー消費が少なく算出されていた日本の鉄道であったが、化けの皮が剥がれたか。

  4. 枝久保さん、現時点で藤沢〜片瀬江ノ島の区間便が4両に減車されるかもしれないという個人サイトの予想はあれど、公式には各駅停車が藤沢で分断する以上のソースが見当たりませんが詳しいソースを教えていただけませんでしょうか?