海没F-35Cに中国はどう出る? 現場は南シナ海! 有事へ発展する可能性はあるのか
F-35C=軍事機密のカタマリ=お宝を前に中国は…?
今回、F-35Cが海没した地点は公表されており、日本の海上保安庁が1月29日に北緯17度50分、東経117度36分付近の南シナ海でサルベージ作業が行われる旨の航行警報を発布しています。それによるとフィリピンの西280km、西沙諸島のウッディー島(中国呼称:永興島)の東530km、「Navarea XI」と呼ばれる区域で、当分のあいだ作業中と掲示されています。座標の水深は3596mです。
結論からいうと、中国が機密を探ろうとリスクを冒してまで「お宝」回収に動く可能性は低いでしょう。というのも、中国が欲しいのは最高機密であるF-35のソフトウェアであり、そして本当にクリティカルなデータ(プログラム)は揮発性メモリに置いてあるからです。つまり、そうしたクリティカルなデータは電流が途切れたら抹消されてしまい、よってソフトウェアの機密を中国が入手できる可能性はほとんどありません。
機体などハードウェアを手に入れれば、ステルス技術、ECM機材、レーダーなどセンサーの基礎データは得られ、敵地侵入能力を推し量って、防空体制など対抗策をとることも可能になるのでしょうが、ソフトウェアに比べれば重要度は下がります。「盗れりゃめっけもの」程度です。
中国はむしろ、政治的、外交的意味で行動する可能性の方が高いです。墜落地点の南シナ海は中国が自国海域と主張する九段線(十一段線)の内側で、政治的絶対防衛ラインとして唱える核心的利益の範疇です。これは中国の一方的な主張であり、ここはほかに台湾、フィリピンがそれぞれ自国のEEZ(排他的経済水域)を主張する係争海域です。EEZ内の海上作業では当該管轄国との協議が必要とされますが、アメリカは中国の主張を認めていないので当然、無通告でサルベージ作業を行います。
中国にしてみれば重大な侵害行為です。最新鋭戦闘機を積んだアメリカの空母打撃群が遊弋しても手が出せない中国は苦々しく思っているところですから、「中国の美しく静かな平和な南シナ海にゴミを持ち込んで、いわんやポイ捨てするのは大変な迷惑で許されない」と、権益をアピールする絶好の機会ととらえるでしょう。
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