「背の低いSUV」なぜ増える? “らしさ”薄れていくSUV 狙いは何なのか
偏りすぎじゃないの? 消えていった車種たち
このように、SUVの流行で多用化が進んだ結果、その裾野が拡大して、背の低いSUVが生まれたわけです。そのぶん、他のスタイルのクルマが減っていきます。
SUV拡大のとばっちりを受けたのが、セダン、そしてステーションワゴンではないでしょうか。セダンとステーションワゴンは、販売数が減っただけでなく、モデル数も激減しています。
個人的な思いを述べれば、街中で使うのであれば、SUVよりもセダンやステーションワゴンの方が実用的ではないでしょうか。街乗りには走破性が求められないので、床下を高める必要もありませんし、セダンやステーションワゴンの方が軽くなり、走る/曲がる/止まる、その全ての性能が向上します。もちろん燃費もよくなりますし、タイヤの消耗も減って経済的です。そういう意味で、今こそ、セダンやステーションワゴンを再評価すべきではないでしょうか。
もちろん、流行が消費を促進して、その結果、経済が活性化するという側面があります。SUVがブームになることで、クルマの文化が熟成されたとも言えます。効率と流行、どちらも重要ですが、今はSUVに偏りすぎのように見えて仕方ありません。新型クラウンもSUVとして発表されたいま、ここいらでSUV人気を最高潮として、そろそろセダンに戻ってきてほしいと思うばかりです。
【了】
Writer: 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。
誤:ホンダの「ヴェエル」→ 正:ホンダの「ヴェゼル」 ですね。
ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。
限界性能を攻めるレースならともかく街中で乗り回すならセダンよりも室内空間の広いSUVが実用的だろう。
だからセダンよりも売れている。
腰高スタイルに違和感を感じないように誘導して、来るべきEV時代に向けて床下の電池スペースを確保しやすくするためのデザイン戦略なのかなと思ってます。床面高さ、全高がどこら辺まで許容されるのか手探りしている段階じゃないでしょうか。