最初は妥協の産物だった? F-14「トムキャット」の30年『トップガン』の最強戦闘機 退役の裏側
2006年の退役後も根強い人気を誇るアメリカ製の可変翼戦闘機F-14「トムキャット」。初代『トップガン』でも空戦の主役として描かれた同機も、実は欠陥エンジンや冷戦終結などにより常に翻弄された波乱万丈の歴史をたどっていました。
整備コストは「スパホ」の約4倍
こうして時代と共に任務が変化していったF-14「トムキャット」ですが、アメリカ海軍は2006(平成18)年に運用を終了します。理由は戦闘機としての陳腐化ではなく“運用コスト”の上昇でした
1970年代に設計された機体のため、21世紀に入るとF/A-18「ホーネット」などの新型機と比べて基本設計の古いF-14「トムキャット」はメンテナンス性に劣っており、構造の複雑な可変翼機構や、生産終了による部品の不足などもデメリットになっていました。
さらに運用末期のF-14「トムキャット」は、飛行時間1時間あたり約60時間の整備作業が必要であり、これは新しいF/A-18E/F「スーパーホーネット」の4倍にも上りました。この維持コストの高さはアメリカ海軍でも許容することはできなかったため、2006(平成18)年に退役したといえるでしょう。この退役スケジュールも当初の計画より前倒しして行われたとも噂されています。
とはいえ、F-14「トムキャット」にとって圧倒的な知名度と人気を博していたことが幸いします。人気モノであるがゆえに、最後まで運用されていた機体の多くが博物館に引き取られ、159610号機もそのなかのひとつとなったのです。
航空大国アメリカでは、あまたの飛行機が開発され、大量生産されてきました。それらのほとんどが引き取り手なくスクラップなどに回されるなかで、全米でもトップレベルの国立航空宇宙博物館別館で余生を送ることができたというのは、ある意味でラッキーだったといえるでしょう。
もし、アメリカ国立航空宇宙博物館別館でこの機体を見かけたときは、外見の格好良さだけでなく。ここまでに至る来歴と、F-14「トムキャット」の運用史にも注目するといいかもしれません。
【了】
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