最初は妥協の産物だった? F-14「トムキャット」の30年『トップガン』の最強戦闘機 退役の裏側
2006年の退役後も根強い人気を誇るアメリカ製の可変翼戦闘機F-14「トムキャット」。初代『トップガン』でも空戦の主役として描かれた同機も、実は欠陥エンジンや冷戦終結などにより常に翻弄された波乱万丈の歴史をたどっていました。
“アキレス腱”だったF-14のエンジン
映画『トップガン』や、その続編『トップガン マーヴェリック』などに登場し、退役から10年以上経った2022年現在もなお人気の高い戦闘機F-14「トムキャット」。映画やゲームなどでは高い空戦性能をもった優秀な機体として描かれることが多いものの、この機体は最初から完成していたわけではありません。30年以上にわたる運用期間のなかで、数度にわたるアップグレードを受け、時代とともにその能力を変化させて行ったことで、「最強艦載機」と呼ばれるほどの高性能を手にしたのです。
その数度にわたるアップグレードを間近で確認できる機体がアメリカ本土に残されています。それがあるのは、ダラス空港に隣接した国立航空宇宙博物館別館(正式名称:スティーブン・F・ウドヴァーヘイジー・センター)。
ここには、アメリカ海軍において最後まで飛び続けていたF-14「トムキャット」159610号機が展示されています。この機体は「トムキャット」配備開始の翌年、すなわち1975(昭和50)に海軍へ引き渡され、各種アップグレードを受けてアメリカでの運用終了(2006年)まで飛び続けたベテラン機。ある意味でアメリカ海軍における「トムキャット」の歴史を代表する機体ともいえるでしょう。
159610号機が製造されてアメリカ海軍に配備された1975(昭和50)年は、あらゆる意味でF-14「トムキャット」がピカピカの新鋭機といえる存在を放っていた時期でした。しかし、この機体は開発当初からある問題を抱えていました。それがエンジンのパワー不足と信頼性の低さです。
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