「プロペラ機は揺れる」は過去の話? ANA北海道内路線に搭乗 ずっと雲の中の悪天候で揺れは?
プロペラ機での道内路線、どんな感じ?
新千歳空港出発時、大柄の旅客機であれば、まず牽引車に押される「プッシュバック」方式で駐機場を出ますが、DHC8-Q400は乗客を乗せ終えエンジンを始動すると、その場で右にターン。窓から地面が近くに見えるためでもありますが、まるでレーシングカートカーのような軽快な速さで滑走路に入ります。離陸も「軽く」という表現が似合うほど短い滑走距離で飛び立ちました。
中標津空港までの飛行時間は予定通り(時刻表上では50分)。離陸後約1万7000フィート(約5400m)の巡航高度に達すると、冷たい飲み物のサービスが行われます。直線距離にして約280km、羽田~中部空港くらいの距離の道内路線ですので、10分ほど後には降下のアナウンスが流れました。
フライトを通して地上の景色が見えたのは、離陸直後と、着陸へ車輪を下げたあたりと、本当に一瞬です。手の届きそうなところを流れていく雲は厚い形をし、濃い乳白色に視界は終始遮られていました。地上の景色は一切見えないなか、最終進入中にやっと赤い屋根の家を見つけて、ようやく地上を確認できる状態での着陸でした。
飛行中の揺れをチェックしましょう。試しに、空になった紙コップをテーブルへ置いてみると、細かくわずかに震えていました。ただし、意識して気づくかどうか、というくらいの話です。
一方、気流に起因する大きな揺れについては、気流の乱れは感じるものの、びっくりするような揺れはありませんでした。ちなみにDHC8-Q400搭乗前に羽田から新千歳まで、最新ジェット旅客機のひとつであるボーイング787に乗っていましたが、降下し雲を通過する際は-Q400と同じような感じで揺れました。
もしかすると「プロペラ機は揺れる」という概念は、もう過去のものなのでしょう。でもできることなら、天気がいいときに乗って、空から北海道の雄大な大地を眺めながら空の旅を楽しみたかったなとは思います。
【了】
Writer: 相良静造(航空ジャーナリスト)
さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。
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