【空から撮った鉄道】震災6年後のJR常磐線 俯瞰だから分かるダイナミックな復旧の軌跡 除染で旧トンネルが姿現す

前回の記事では、2016年当時のJR常磐線の不通区間を北から南へと追いました(原ノ町→竜田)。復旧工事が本格化した2017年、2度にわたって空撮し、同じく原ノ町駅から竜田駅までを記録しました。

この記事の目次

・復興は1年でどのくらい進むのか
・新しいバラストがまぶしい
・原発に近づくにつれ復興の歩みは遅く
・刈り取られた夜ノ森駅の名物「ツツジ」
・明らかに減った「黒い塊」
・線路が津波で“引っ張られた”助成踏切付近は…

【画像枚数】全41点

復興は1年でどのくらい進むのか

 東日本大震災の地震や津波に加え、福島第一原発の事故により不通となったJR常磐線。その後徐々に復旧が進み、前回の記事で紹介した2016(平成28)年5月の段階で、不通区間は竜田~原ノ町間46kmとなっていました。その後も復旧作業は着々と進み、2017年10月には、残すところ富岡~浪江間20.8kmのみに。ただ、この区間は福島第一原発へ最も近づく箇所であり、帰還困難区域を通ることから、その後もしばらく不通のままでした。

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前回同様、原ノ町駅で空撮を開始。ここから南下する。701系やE721系が縦列停車していた(2017年3月12日、吉永陽一撮影)。

 私は2017年3月12日と12月6日の2回、不通区間を空撮しました。まだ列車の走っていない線路の空撮がメインとなりますが、前回の記事と比較して見ると、草ぼうぼうだった線路がここまで整備されていくのかと驚かれるかと思います。3月の撮影は北側から南下、12月は南側から北上しました。

新しいバラストがまぶしい

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桃内駅の手前。除染作業により草木が伐採されることで、旧トンネル群が日の目を見ることになったのは皮肉ともいえよう(2017年3月12日、吉永陽一撮影)。
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新しいバラストがまぶしい桃内駅はまるで新駅のようだ。前回とはまるで違う様相で、確実に復興は進んでいた(2017年3月12日、吉永陽一撮影)。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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