検査でバラされたC58 火のない貴重な姿のSLを間近で観察

C58形の特徴「一体型ドーム」 外すと…?

 炭水車を背にした239号機が目に入り、私はその勇姿に思わず感嘆の声を漏らします。9年前に竣工した検修庫はまだまだ新しく、滑らないよう床も美しく輝き、まるでレースカーを整備するおしゃれなカーショップにいるようでした。

 参加者は2班に分かれ、少人数での見学を開始。国内外問わず蒸気機関車の撮影会はよくありますが、たいていは火の入った“生きた”状態です。目の前の機関車は火が落ち、しかも分解されている貴重な姿。写欲がそそられます。

Large 221024 fkcym 02

拡大画像

整備担当の検修員がシリンダーカバーを開ける。これは初めての経験だ。シリンダー本体を覆う断熱材が白いため、季節柄一瞬、雪が舞い込むことなどあるのかと誤認してしまった(2022年1月、吉永陽一撮影)。

 有料の撮影会なのだから火が入ってなんぼだという価値観はあるでしょうが、私はこのように分解された姿で、美しい庫内に佇む姿を捉えられるのも素敵なことだと感じました。それに、構造の細部も知ることができるのも良いですね。

「これがシリンダーです。蒸気を動輪へ伝達する部分です」

 検修員がシリンダーカバーの点検蓋を開けます。こうやって開くのか。思わず目を丸くします。印籠のような丸い形状が空気弁で、上の点検蓋内には蒸気給排気管が、下の点検蓋内には白い断熱材に覆われたシリンダーが格納されていました。なるほど、こうなっているのか。

 動輪のロッド類は一部がまだ外されており、逆にボックス動輪の形状がつぶさに観察できます。ボイラー上部はドームカバーが外され、蒸気ドーム(蒸気溜め)が露出しています。C58形は砂箱と一緒になった一体型ドームが外観の特徴のひとつですが、ドームを外すとコブのような形状です。蒸気ドームはどの蒸気機関車にも備わっており、その役割はボイラーで発生した蒸気を集めシリンダーへ送ること。外観を覆うドームカバーは形式によって異なり、その形式を表す特徴にもなっています。

【写真】C58形蒸気機関車の各種パーツ

テーマ特集「【鉄道特集】往年の名車、活躍中のエース どんな車両? 国鉄時代の思い出も」へ

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。