いつもの通勤電車が“荷物用”に!? JR高崎線で健在「新聞輸送列車」 上野始発は廃れども

かつて鉄道は様々な生活物資を運ぶ交通機関でした。国鉄時代は小荷物を専用に運ぶ荷物列車が運行されていましたが、廃止されて久しいです。ただ現代でも、一部「荷物車」となった列車があります。失われつつあるその様子に密着しました。

積まれた新聞はどんどん減っていく? 観察してみた

 JR東日本の新聞輸送列車は、高崎線と宇都宮線で運行されています。かつては上野駅の荷物専用ホームから、新聞の積み込みが行われていたのですが、上野始発の列車が上野東京ライン開業で減少したうえ、ホーム自体もクルーズトレイン「トランスイート四季島」用に転用されたため、上野発の新聞輸送列車は消滅してしまいました。なお知名度が高かった総武線の新聞輸送列車も、2010(平成22)年に廃止されています。

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上野駅で夕刊の積み込みが行われる(2022年12月、安藤昌季撮影)。

 2022年末時点では、東京駅にてお昼ごろの営業列車最後尾に係員が乗り込み、上野駅に到着するまでの間に荷物スペースを確保するという形で「新聞輸送列車」が運行されています。

 係員はロングシートの荷物棚に金具をからめ、実に手際よく「荷物用」と書かれた横断幕を設置していきます。荷物スペースを設けた高崎行きの列車は、上野駅5番線に3分間停車し、夕刊の積み込みを行います。

 出発すると、係員は「荷物室」と書かれた横断幕を、誤乗防止のために側扉にも設置します。筆者(安藤昌季:乗りものライター)は終点の高崎駅まで乗車しましたが、停車するホームの位置に合わせて、側扉の横断幕を頻繁に移動させていました。新聞の積み下ろしも含めて、かなりの重労働といえます。

 興味深いのは、駅によって新聞の受け取り方が異なることです。女性係員が単独で迎えに来る駅や、複数人で受け取りに来る駅、駅のホーム上に新聞を置いて、その後で係員が拾いに来る駅など、まちまちでした。

 上野駅では夕刊の包みが20以上搭載され、それが見る見るうちに減るのかと思いきや、そうでもありません。終点の高崎駅で、新聞の包みを複数の係員が降ろしていきました。

 ここから、各地のエキナカ売店「キヨスク」や新聞販売店に輸送されていきます。「荷物室」の横断幕は年期が入ったもので、新しい車両ながらここだけが、まるで昭和のようでした。

【了】

【写真】新聞輸送の様子

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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