戦車以上に重要? ウクライナ切望の「重量物運搬車」とは 作戦を左右する縁の下の力持ち

ある意味戦略物資 今後、より増える可能性も

 とはいえ、重量物運搬車には大きな弱点もあります。それは、巨大なので隠蔽しにくいうえ移動速度が遅く、防御力もほとんどないため、砲撃や航空攻撃はもちろん、歩兵の襲撃にすら脆弱という点です。

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アメリカ陸軍が運用する重量物運搬用トレーラー「HETS」(画像:アメリカ陸軍)。

 特にウクライナの場合は、虎の子の西側製MBTを輸送中にMBTごと撃破されてしまっては元も子もありません。そのため、同車の運用に際して、ウクライナ軍がどのような防衛手段を講じるかという点も、きわめて興味深いところです。

 重量物運搬車は、積載重量と積載サイズの範囲内であれば、どんな車両でも載せて運ぶことができます。ただ「レオパルト2」を筆頭にアメリカのM1「エイブラムス」、イギリスの「チャレンジャー2」と、いわゆる西側MBTベスト3を供与されることになったウクライナ軍には、トータルで300両超の戦車が集まると言われています。それに加えて、大型の装軌式自走砲や歩兵戦闘車なども続々と欧米各国から供与される予定です。

 そうなると、現状の重量物運搬車の数では間に合わないとも言えるでしょう。もしかしたら「縁の下の力持ち」たる重量物運搬車の供与数も、これからうなぎのぼりに増えていくかもしれません。

【了】

【ミグ戦闘機の牽引にも使用】アメリカやウクライナの重量物運搬車たち

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Writer: 白石 光(戦史研究家)

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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