「寿命半分」だったはずでは? 209系登場30年 長持ちの秘訣と“他線区のおさがり”
209系を209系で置き換えた!?
1992年に京浜東北線へ投入された209系は、17年後の2009(平成21)年に約半数の車両が房総エリアに転属します。この際、車両の制御装置は新しいものに交換され、インテリアも一部の車両にクロスシートを導入し、長距離利用を考慮してトイレを設置するといった改造がなされています。
209系の基本番台で最も新しい車両は1997(平成9)年製造なので、予定通り製造から13年で「廃車するか更新して再利用するか」を検討したことになります。一方、1996(平成8)年に川越・八高線に投入された209系3000番台は、製造23年後の2019年に廃車。これらの車両は「23年で元を取った」ことになるわけです。
ちなみにこの209系3000番台の後継車両は209系3500番台。はからずも「209系で209系を置き換えた」ケースになりますが、こちらは「中央・総武線各駅停車で元を取った車両をリニューアルし転用」しています。
このようにJR東日本では、「寿命半分」コンセプトの新型車両を重要路線に集中投入し、検査もしくは更新時期に差し掛かったら「短期間で元を取った」車両を捻出のうえ一部をリニューアルし、他線区へ転属するというサイクルができました。このため、比較的短期間かつ低コストで首都圏の主要線区から国鉄型の古い車両を淘汰できたのです。これも言い換えれば、「寿命半分」の効能のひとつといえるでしょう。
【了】
※誤字を修正しました(2月13日12時20分)。
Writer: 児山 計(鉄道ライター)
出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。
これまで30年使ってようやく元を取るような設計だったのが
14,5年つかって廃車にしても魔改造してもいいような車両を寿命半分と誤解されたよね