ミッドウェーは「艦載機の時程管理」がポイント? レーダーない旧海軍 “戦闘機頼みの防空”はやっぱり限界なワケ

太平洋戦争中、日本は敵機の接近を早期感知できるレーダーを実用化するのが遅れたこともあり、たびたび防空網を突破されていました。それは海軍の空母艦隊も同様で、艦隊防空の中心は零戦でしたが、その運用には様々な制約がありました。

最悪「何もできずに完敗」のパターンも

 空母艦載機は空母が直進していないと、発進できません。ミッドウェーからの基地航空隊に対して、攻撃隊発進を優先させれば、空母側は「空襲への回避運動を取れない」ということです。それどころか、飛行甲板に攻撃機が満載されている状態ですから、「敵機が飛行甲板を機銃掃射」でもしたら、攻撃隊は爆発炎上して、致命傷となりかねません。

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ミッドウェー海戦でアメリカ軍機の攻撃を避ける旧日本海軍の空母「飛龍」(画像:アメリカ海軍)。

 日本の空母艦載機は1機10秒で発進できるので、飛行甲板に攻撃隊が並べられていれば、4~6分程度で全機発進できますが、その4分を捻出できないだけで詰むのです。第2次攻撃隊の準備が終わるのは、午前4時と書きましたが、これは最短の場合なので、少しでも遅れたら、攻撃隊を並べている最中に、空襲開始となります。

 ここで、敵機の妨害で攻撃隊を出せないと、飛行甲板が開きませんので、史実で3時59分~4時36分に着艦した、直衛用の零戦7機が着艦できずに、燃料切れで失われます。その上で、第2次攻撃隊向けに準備した零戦8機を防空用に転用したことで、「攻撃隊は護衛戦闘機なし」「防空用に回した零戦はほどなく燃料切れとなり、艦隊上空はガラ空き」という最悪の結果もあり得ます。

 日本艦隊は艦隊防空を零戦に頼っているため、敵艦隊を早期発見したことで、逆に「攻撃隊発進準備」→「そのおかげで直衛戦闘機の補給ができない」→「艦隊防空に穴が空く」→「飛行甲板に並べられている攻撃隊に被弾して爆破炎上」というケースすら想定されます。

 この場合「何もできずに完敗」というパターンすらあり得るのです。なぜなら、飛行甲板で第2次攻撃隊が爆発炎上している中、午前1時30分に発進した第1次攻撃隊が午前5時から5時10分に帰還するからです。そうなると、敵空母攻撃用の第2次攻撃隊は爆発炎上、戻ってきた第1次攻撃隊は着艦できないので燃料切れになりますから、南雲機動部隊は「敵空母を早期発見したばかりに、何もできずに全滅した」という結末に陥っていた可能性すら考えられるのです。

 ひとつしかない飛行甲板という「滑走路」に、防空と攻撃という異なる用途に向けるべき艦載機が、頻繁に補給のための着艦を必要とするのが、艦隊防空の難しさといえるでしょう。

【写真】アメリカの国籍標識「白星」を付けた零戦

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コメント

1件のコメント

  1. この理屈だと米機動部隊や兵装転換の有無に関わらず、極論するとどんな場合でも二次攻撃隊の準備中に敵がやってきたらおしまいということになりますね。ちょっと脆弱すぎる気もしますが、真珠湾攻撃で燃料を過搭載して無理やり空母6隻連れて行ったことを考えると当時承知の事実だったんですかね。

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