「日本一のショッピングセンター」実は成田空港だった!? 巨大モール凌駕の売上 納得の戦略

成田空港が「日本一のショッピングセンター」になった戦略

 旅行先で買い物を楽しみにしている旅客が、出国前に財布のひもを緩めるのか――筆者の疑問に対し、職員は次のような戦略を話しました。

「行った先で目当ての品がない場合もあるでしょう。出国前に買えば安心もします。貴金属などの高級ブランド品は値段が高くともかさ張らず荷物になりません。外国人旅行者にとっては、日本国内で買いそびれた品を帰国時に成田空港で見つけることが出来るかもしれません」

 この淀みのない答えは、“開店準備”へリサーチを抜かりなく行っていたことを示していました。

 また、東京都心から約50km遠方にある成田空港では、出発時間ギリギリではなく、余裕をもって空港へ到着してほしいと呼びかけてられており、観光で国際線を使う乗客も早めに空港に到着する傾向もあります。ならば、早く着いた分、出国エリアでブランド品の買い物を楽しんでもらおう――。ショッピングセンター化は、「不利な地の利」を逆手に取った経営戦術であったのかもしれません。

Large 02

拡大画像

新型コロナウイルス感染拡大下の成田空港の第1ターミナル。店舗は閑散としていた(2020年3月、乗りものニュース編集部撮影)。

 2023年3月に入ってから、成田空港会社は3月末でコロナ禍により続けていた着陸料の減免措置を終了させると同時に、空港内の飲食店や土産物店などへ行ってきた賃貸料の減額などの支援も終えるとニュースで流れました。店舗は8割以上が営業を再開しているためということですが、海外旅行を今まで控えていた分、購買意欲も高まるでしょうし、飲食店や土産物店も活況になるでしょう。

 ちなみに、免税ブランド店に並ぶ品は、百貨店と同じようにバイヤーの「仕入れ」がモノを言うのだそう。高級ブランドをはじめ流行を先取りした商品を、空港内の店舗がいかに揃えられるかが重要になるわけです。“目利き”の選んだ品がそろえば、それだけ足を止める旅行客が多くなり、利益も上がるでしょう。コロナ禍後の成田空港がどのように売上を伸ばし、「ショッピングセンター」のランキングに食い込んでくるかが楽しみです。

【了】

【圧倒的迫力】世界唯一の珍設備!成田空港に実在した「ジャンボ丸洗いマシーン」

テーマ特集「【特集】羽田、成田から下地島まで…全国の空港特集」へ

Writer: 加賀幸雄(旅行ライター)

日本各地の名産や景勝に興味があり、気ままに目的地を決めて2泊3日程度の 小旅行を楽しんでいる。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。