「新横浜の私鉄」誕生まで60年もかかったワケ【後編】 ラブホ街に交錯した市と3私鉄の思惑

相鉄・東急新横浜線の開業により、新幹線を含め5社局5路線が乗り入れるようになった新横浜駅。後編では長らく私鉄が通らなかった理由について、バブル経済の頃から見ていきます。

なぜ相鉄はJR直通線を計画したか

 最大のネックは建設資金の調達です。当時は国や自治体の補助金制度が不十分で、自ら調達しようとすれば金利負担が重すぎて、採算が取れないため事業主体が決まりません。相鉄からすれば、莫大な建設費を負担しながらターミナル横浜の地位低下をもたらす東部方面線計画は、決して歓迎できるものではありませんでした。

 また大倉山で接続を想定していた東横線の複々線化工事は、日吉までに短縮され一体的な整備は実現せず、川崎ルート側も連携先の川崎市営地下鉄構想が難航。そのうえ、京急の羽田空港ターミナルビル乗り入れが決まったことで、その意義を失ってしまったのです。

 2000(平成12)年の運輸政策審議会答申第18号では川崎ルートが削除され、東急ルートのみが「2015年度までに開業することが適当である路線(A1路線)」に位置づけられましたが、相鉄が検討していたのはJR東海道貨物線への乗入れ計画でした。これは莫大な建設費を要する東部方面線と比べ、最小限の設備投資で都心乗り入れできる現実的な計画だったからです。

 しかし答申から5年後の2005(平成17)年に、事業費の3分の2を国と自治体が補助する都市鉄道等利便増進法が制定され、最大の懸念であった資金調達が容易になると、神奈川県、横浜市を始めとする地元自治体の熱意が原動力となって東部方面線計画が具体化していきます。

 結局、JR直通線と東急直通線の両方が法律に基づき事業認定され、前者は2010(平成22)年、後者は2013(平成25)年に着工。2023年3月の相鉄・東急新横浜線の開業で、ようやく新横浜に私鉄が乗り入れました。

【路線図】全部実現してたらすごい!? 答申第18号の計画線

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