部品が不意に落下なら…? 北朝鮮の“衛星”への「破壊措置命令」どこまで対応できるのか

北朝鮮は6月11日までを、衛星打ち上げ用ロケットの発射期間だと通告しています。これを受け「破壊措置命令」という語を耳にする機会が増えていますが、実態はどのようなものでしょうか。

国連安全保障理事会決議に違反

 北朝鮮は2023年5月29日、黄海、東シナ海およびフィリピン東方の太平洋に、5月31日午前0時から6月11日午前0時までのあいだ、危険区域の設定を行うとの通報を行いました。これは、北朝鮮が軍事偵察衛星を打ち上げるためのロケットを発射することに伴うもの。期間初日の31日朝、早速発射を試みましたが、同様の事案は2016年(平成28)年2月7日以来となりました。

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航空自衛隊の地対空ミサイルシステム「PAC-3」(画像:航空自衛隊)。

 今回、日本政府は発射が懸念される衛星打ち上げ用ロケットを「『衛星』と称する弾道ミサイル」と呼称しています。これは、ロケットも弾道ミサイルも用いられている技術は共通であるためです。両者の違いは究極的には、先端に衛星を載せているのか、それとも弾頭を載せているのかという点で、それ以外の技術的な部分で両者は共通の存在というわけです。

 そのため、もし北朝鮮が衛星の発射を強行した場合、「弾道ミサイル技術を使用した、いかなる発射」を禁じている累次の国連安全保障理事会決議に違反することとなり、日本を含む各国は発射の予告を非難しているのです。

北朝鮮のミサイルを撃ち落とせる2つのケース

 今回の発射予告を受けて、浜田防衛大臣は同日、自衛隊の部隊に対して「弾道ミサイル等に対する破壊措置の実施に関する自衛隊行動命令」を発出しました。ニュースや新聞などでは「破壊措置命令」として報じられているこの命令は、一体どのようなものなのでしょうか。

 一般的に、北朝鮮から日本へ向けて飛来する弾道ミサイルを自衛隊が迎撃する場合、それには2つのケースが考えられます。ひとつは、北朝鮮が日本に対して意図的に攻撃を仕掛けてきた場合です。この場合、日本は国際法上認められた自衛権(他国からの違法な攻撃に反撃する権利)の行使として、この弾道ミサイルを迎撃することが可能です。

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