悪路を行くなら“浮かせてしまえ”!? 実際あった「空飛ぶジープ」とは 最近またトレンドに?

大阪万博でも展示される「空飛ぶクルマ」。最近のトレンドかと思いきや、実は第2次世界大戦後にアメリカで試作されています。軽快に戦場を飛び回る空中騎兵を想定したようで、陸軍はVZ-8Pの名で呼びました。

レーダーに捉えられないエアジープ!?

 結局、フライングジープ計画で審査された乗りものはすべて製造中止または廃棄されました。しかし空中騎兵の夢を諦められない陸軍は1960(昭和35)年に再度この計画を立ち上げ、最も成績の良かったVZ-8「エアジープ」の改良型を1962(昭和37)年に完成させます。

 メーカーからは59H型「エアジープII」、陸軍からはVZ-8P(B)と呼ばれたこの“機体”は、400馬力エンジンを搭載し、パイロット、副パイロット、射手の3人乗り、ゼロ高度ゼロ速射出座席、接地機動も可能なように動力式3輪着陸装置も備えました。

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バイアセッキのVZ-8「エアジープ」。ヘリコプターを手掛けていることもあって、VZ-6、VZ-7よりも性能はよかった(画像:アメリカ陸軍)。

 エアジープIIは高度約900mまで上昇でき、かつ地上ギリギリも飛行できるのでレーダーに捉えられないとされましたが、当時実用化が進んでいたヘリコプターとの境目がだんだん分からなくなります。結局エアジープIIは戦場の環境には適さないと判定されて計画は中止されます。ヘリコプターより小型で、飛行や取り扱いも容易であることを期待されていましたが、飛行高度も速度も中途半端で、航空機でもクルマでもなく航続距離は短く、少人数の移動手段としては効率が悪いものでした。空中騎兵はヘリコプターに乗ればよかったのです。

 それから60年経って再び、「フライングジープ」とほぼ同じコンセプトの「空飛ぶクルマ」が流行り出しています。イノベーションのきっかけは、コンピューターと電動モーターで、複数のローターの細かい制御により安定した操縦性が実現できたことです。しかしアメリカ軍では「エアジープIII」を開発しようという動きは、今のところ見られません。

【了】

【レーダーにも映らない!?】60年前の空飛ぶクルマ「エアジープⅡ」

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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