通勤電車の「片開きドア」なぜ減った? 大手私鉄じゃ絶滅寸前 両開きが席巻したワケ
両開きドア きっかけは西武鉄道
変化が起きたのは101系登場から2年後、1959(昭和34)年に西武鉄道が451系に搭載した両開きドアでした。
このドアはST式戸締機構といい、2枚の扉を鴨居の中に設置したベルトに連結し、1台のドアエンジンで2枚を完全に同期させつつ、ベルト駆動なのでドアの閉まり方もある程度調整ができるという優れたシステムでした。西武鉄道はこのシステムを、モーターや台車などの技術と引き換えに、国鉄へ提供したのです。
そのためST式戸締機構は西武鉄道の車両だけでなく、103系以降の国鉄電車や各私鉄の車両にも採用され、通勤電車の両開きドア化が一気に進むこととなったのです。
標準的な両開きドアの幅は1300mm。この広さは大人3人が一度に乗り降りできる幅なので、4ドア車であれば1両当たり12人が一度に乗り降りできる計算です。
一方で片開きの場合、ドア幅はおおむね1100mm程度。この場合大人2名となり、4ドアにしても一度に8人しか乗り降りできません。多くの乗降がある駅ではこの差が停車時間に影響してくるため、都市部の通勤電車はほぼすべてが両開きドアとなったわけです。
2023年6月現在、大手私鉄で片開きドアの通勤電車を運用するのは南海電鉄(6000系)のみですが、こちらも順次置き換えが進んでいます。
一方で、1980年代に入るまで片開きドアを採用し続けた鉄道会社もあります。京急電鉄です。
コメント