影薄いの声は本当か 山陽新幹線「厚狭」へ行ってみた 長~い在来線ホームはなぜ?

アンケートの結果、「東海道・山陽・九州新幹線で最も影が薄い駅」となった厚狭駅。現地を訪ねると、往年の特急時代を思い起こす長大なホーム、伝統産業、伝説など、実は“濃ゆい”まちだとわかりました。

降りて実感“濃ゆい”駅!

 訪問した際は災害で山陽本線も美祢線も不通になっており、代行バスの案内がありました。新幹線口から外に出ようとすると、コンコースで「ようこそ厚狭へ」と地域キャラクターの絵が出迎えてくれますが、名前が書かれておらず、商売っ気はありません。

 新幹線口の駅前は高い建物がなく、空が広いです。「厚狭駅構内ご案内」を見て気づいたのが、反対側の在来線口に抜ける道がないということ。仕方がないので、自動券売機で入場券を買って改札内に入り、在来線ホームへ向かうための跨線橋を通って反対側を目指しました。

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在来線口の前に建つ「寝太郎之像」(2023年7月、安藤昌季撮影)。

 在来線口にたどり着くと、「美祢線代行バス」の表示も。不思議なのは、美祢線ホームである1番のりばに、列車に背を向けたベンチが置かれていること。列車の到着が見えないけどいいのでしょうか。

 在来線口にはセブンイレブンがあり、外に出ると新幹線口とは違い、駅前には街並みが広がります。駅前には「寝太郎之像」が建ちます。厚狭には、ものぐさで寝てばかりなので「寝太郎」と呼ばれた若者の物語が伝わっています。次のような内容です。

 寝太郎は庄屋だった父に仙石船を作らせ、大量のわらじを積んで佐渡島に行きました。そこで「この新しいわらじと、古いわらじをタダで替えてやる」と呼びかけ、大量の古いわらじを集めました。戻った寝太郎が古いわらじを洗うと、佐渡の砂金が落ちて山盛りに。寝太郎は砂金を原資に灌漑用水路を作り、厚狭に豊かな水田を広げたのです。

 このようなお話ですが、「防長風土注進案」に原型があり、そこでは寝太郎がおじいさんとされていることから、銅像も「翁像」かもしれません。

 駆け足で見ても、見どころ豊富な厚狭のまち。筆者には「影が薄い駅」ではなく、滞在してみたい駅と地域だと感じられました。

【了】

※本文末、修正しました(8月14日11時30分)。

【え…】特急時代の名残です(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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