戦車の砲塔は“ひとつ”がベスト― 2本3本つけた「多砲塔戦車」作って分かった当たり前すぎる欠点

戦車といえば、中央に砲塔が一門あるのが100年以上にわたり定番の形です、砲塔が沢山あった方が有利そうですが、なぜそうならなかったのでしょうか。

いざ動かしてみると戦闘には不向きという判断に

 そもそも砲塔がたくさん乗っているせいで構造が複雑になるほか、複数砲塔のため車体の大きさの割に、大きな口径の砲は搭載できないという問題が露見します。さらに必要な人員も多いせいで、指揮もしにくいことがわかります。それぞれの砲の狙いを定めるのは人間であり、多砲塔戦車となると様々な情報や要望がそれぞれ射手から飛んでくるので、車長は情報を整理しきれませんでした。

 最初に作ったイギリスやほかの国も結局使えないという判断を下しますが、ソ連だけは、1930年代にT-28中戦車や、さらに大型のT-35重戦車という多砲塔戦車を量産化します。当時ソ連は世界唯一の共産主義国として、世界から孤立状態にあり、この時代に世界を不況に陥れた世界恐慌の影響も最小限で、野心的な戦車にも回せる開発費用がありました。

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多砲塔戦車の元祖「インディペンデント」(画像:帝国戦争博物館)。

 しかし、T-28は前述した多砲塔戦車の複雑な構造ゆえに、サスペンションやエンジンに問題が多発。T-35に至ってはこれらのトラブルに加え、重戦車にも関わらず、他の場所に重量を割いてしまったため装甲が脆弱で、しかも砲塔が互いに邪魔をしあうので射界が限定される、という戦闘での問題点も露見することになります。

 高い開発費用を使ったものの全く性能に反映されてないということが、T-28、T-35で明らかとなりましたが、ソ連の技術者はそれでも諦めずに多砲塔戦車の新型の企画を立てたということで、当時ソ連の独裁者だったヨシフ・スターリンも「君たちは戦車のなかにデパートでも作るつもりか」と設計者たちに嫌味を言うという事態に。結局その発言に震え上がり計画は中止されることになりました。

【了】

【作る前に気づかなかったのか…?】過去に開発された多砲塔戦車たち(写真)

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