露が破壊 世界最大の飛行機「An-225」はいま 復活計画コッソリ進行中? それが可能なワケ

「ムリヤ」復活の課題と進まない理由

 2号機は、資金難のため60~70%しか完成しなかったものの、胴体や主脚は破壊を免れています。このため、再建は回収したパーツを使いつつ“2個1”で完成させる方向のようです。

 一方で、問題もあります。An-225「ムリヤ」の初飛行は1988年と古いため、多くの部品が1980年代製。中には既に作られていないものもあるでしょう。代替の効くものがあるか、この機の再建には、これまでの運用経験に基づいた設計の変更もあり得るかもしれません。

なによりも、ウクライナは現在、領内のロシア軍の排除へ反転攻勢中で、終戦後は復興に力を注がなければならない状況です。そのようななかで、5億ドル(約700億円)以上とされる再建費を確保できるかも気にかかります。

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2010年9月、自衛隊の海外派遣を支援するために仙台空港へ飛来したAn-124「ルスラン」(柘植優介撮影)。

 ウクライナが「ムリヤ」の再建を、破壊後すぐに表明したのは、これが世界最大の輸送機であるばかりでなく、ウクライナの工業技術力を示す象徴でもあるからです。

それはすなわち、ウクライナの士気をくじこうと、ロシアが「ムリヤ」を再び標的にしかねない、ともいえます。そうしたことから、アントノフも従業員の安全確保のため、作業の進捗状況の積極的な発表は避けているとされています。

 しかし、反転攻勢が成功したならば、戦後の復興と共に、「ムリヤ」の再建も次第に関心が向けられるようになるでしょう。いつになるかはわかりませんが、この機が再び飛ぶことを願ってやみません。

【了】

【写真】超規格外! これが「ムリヤ」の全貌と機内です

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