【空から撮った鉄道】ここで“交流電化”が生まれた 山から横断する「仙台」東北3県の鉄道ダイジェスト〈中編〉
2021年9月、岩手、山形、宮城県をまとめて空撮しました。前編に引き続き中編では、宮城県のその1を紹介します。山形・宮城県境から仙台市中心部を通り、新たな貨物ターミナルの予定地まで飛行しました。
この記事の目次
・JR仙山線の、山形・宮城県境の様子
・残された転車台と機関庫
・移転を控えた仙台貨物ターミナル
・最後の国鉄形電車205系と、貨物ターミナルの予定地
【画像枚数】全21点
JR仙山線の、山形・宮城県境の様子
山形市内やJR仙山線の山寺駅などを撮り終え、山形県から宮城県へ移動します。飛行する地点は仙山線をなぞっていきます。
全長5361mの仙山トンネル(面白山トンネルとも)で県境を抜け、セスナ機は高度を上げて面白山を越えます。仙山線に乗車したときは「山深くなって長いトンネルに入ったな」と感じた県境越えは、上空から見渡すと、面白山を含む奥羽山脈が南北に連なっており、「ああ、これが脊梁山脈か」と納得するほど、大地に山々が続いているのです。
そこを仙山線の線路が大きな弧を描いて山々から降りてきて、住所でいうと仙台市青葉区の作並駅へと至ります。軽快な近郊形電車が数十分~1時間程度で県境越えをするので、乗車していると気にも留めなかったのですが、空から見るとかなりの峠区間なのですね。
作並駅には1937(昭和12)年の仙山トンネル開通によって、電気機関車の機関区が設けられました。長大トンネルは蒸気機関車の排煙問題があり、山深い地は当初より直流電化区間となったのです。現代の大井川鐵道井川線のアプト式区間と似たような光景ですね。ここが東北地方の国鉄初の電化区間となりました。
残された転車台と機関庫
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Writer: 吉永陽一(写真作家)
1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。